バイオリンのマメ知識
コントラバスの活躍するオーケストラの名曲

コントラバスの独奏が印象的な作品で最も時代的に古いものといえば、ハイドンの交響曲第6番ニ長調「朝」ではないでしょうか。この交響曲の第3楽章メヌエットのトリオでは、コントラバスが主旋律を担当する部分が出てきます。また、モーツァルトがバス歌手のために1791年ウィーンで作曲したコンサートアリア「この美しい御手と瞳のために」K612には、超絶技巧のコントラバスの独奏パートが付けられています。

19世紀では、オーケストラ作品ではありませんが、C. サン=サーンス(1835~1921)の組曲 動物の謝肉祭の「象」が有名です。巨大な象が踊るようすをあらわすために、サン=サーンスは、J. オッヘンバックの喜歌劇「天国と地獄」の序曲にも現れるギャロップの旋律をコントラバスに担当させているのです。ユーモアの精神に満ちた音楽ではないでしょうか。

G. マーラーの交響曲第1番ニ長調「巨人」では、第3楽章の冒頭主題をコントラバスだけによって提示させています。この楽章は葬送行進曲のイメージで書かれたといわれますが、確かにコントラバスの重々しい響きとずっしりとした歩みはそのイメージにぴったりと当てはまっているのではないでしょうか。

C.サン=サーンス

C.サン=サーンス(1835~1921)