バイオリンのマメ知識
チェロの名曲-協奏曲編 I
チェロが独奏楽器として認められたのは17世紀後半のことです。その時代には、特にイタリアのチェロ奏者たちがチェロのための独奏曲を出版しているのです。18世紀に入ると、バイオリン協奏曲を真似て、チェロのために協奏曲を書く作曲家が現れ始めます。
L.ボッケリーニ:「チェロ協奏曲変ロ長調」
古典派時代におけるチェロの最大の名手、ルイージ・ボッケリーニは10以上のチェロ協奏曲を残しています。この変ロ長調の作品は、現在最も有名なものです。しかし、19世紀後半のドイツのチェロ奏者、フリードリヒ・グリュッツマッハーが編曲した版で演奏されることが多く、この編曲版は原曲とはかなり異なったものだったため(第2楽章などは他の作品からの借用でした)、ボッケリーニ本来の魅力は長い間埋もれたままでした。しかし、近年では、オリジナルの楽譜で演奏される機会が格段に増えています。歌うような旋律と超絶技巧が見事に融合したボッケリーニの協奏曲がもつ本当の魅力が明らかになってきています。

ルイージ・ボッケリーニ(1743~1805)
J.ハイドン:「チェロ協奏曲第2番ニ長調」Op.101
ハイドンの円熟期に書かれたこの協奏曲は、20世紀中頃まで、本当にハイドンが書いたかどうか疑われていました。しかし、今ではハイドンの作品であることがはっきりとしています。独奏パートが非常に技巧的に書かれているにもかかわらず、オーケストラも単なる伴奏ではなく、独奏チェロと華やかな対話を繰り広げます。ハイドンの友人には、アントン・クラフトという著名なチェロ奏者がおり、おそらくこの協奏曲はクラフトのために書かれたのではないでしょうか。ちなみに、ベートーヴェンの三重協奏曲ハ長調作品56の初演では、このクラフトが独奏チェロのパートを受け持ちました。
楽器解体全書:バイオリンの目次
マメ知識
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- なぜf字孔なのか
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- バイオリンのニスのほとんどは医薬品でもある
- バイオリンの名曲-独奏曲編 I
- バイオリンの名曲-独奏曲編 II
- バイオリンの名曲-独奏曲編 III
- バイオリンの名曲-協奏曲編 I
- バイオリンの名曲-協奏曲編 II
- ビオラの名曲-室内楽編
- ビオラの名曲-協奏曲編
- チェロの名曲-協奏曲編 I
- チェロの名曲-協奏曲編 II
- チェロの名曲-独奏曲編
- コントラバスの名曲-協奏曲編
- コントラバスの名曲-室内楽編
- コントラバスの活躍するオーケストラの名曲
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