バイオリンの選び方
その他のチェックポイント

バイオリン製作者が特に気を遣うのは、パフリングのコーナー。パフリングとは表板と裏板の縁に一回り埋め込まれた黒、白、黒の合板のことで、深さは2ミリ程度。コーナーとはボディの尖ったところで、表裏合わせて8ヵ所あります。写真は表板の左上のコーナー。2方向から来るパフリングの断面を斜めに切り、ぴったり1点でそろえてあります。断面の切り方によって上がり方も変わりますし、上がり具合が左右対称であることも大事で、ぴったりになるように顕微鏡で見て合わせるほど。ちなみに名器ストラディヴァリウスの場合はコーナーの3対1をねらって、長く斜めに伸びているのが特徴です。

パフリングのコーナー(ヤマハ製)

製作者の姿勢と技術が問われるパフリングのコーナー(ヤマハ製)

パフリングは装飾としての役割ももちろんありますが、他にも意味があります。1つには彫り込むことで、ボディが柔らかくなる点。もう一つは、割れを防ぐ点。ボディの端の部分は一般に木口と呼ばれる面に相当し、水分の吸放出やぶつかった時の衝撃で割れが発生しやすい部分です。運悪く端にヒビが入った時、何もないと一気に上まで割れてしまいますが、パフリングがあれば、そこで割れが止まる訳です。

購入する際の注意点として、ペグ(糸巻き)がスムーズに回るか、ボディに傷がないか、あってもきちんとメンテナンスされているか、あご当ての金具がグラグラしていないか、張ってある弦が極端に古くないか、などのポイントをチェックしてみてください。一つでも「あれっ?」と思ったら、ディーラーの方に質問して、メンテナンスをお願いするとよいでしょう。