バイオリンのマメ知識
バイオリンの名曲-協奏曲編 II
メンデルスゾーン:「ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64」
メンデルスゾーンの作品の中でもっとも親しまれている曲がこのバイオリン協奏曲です。バイオリンの魅力が最大限に発揮された作品で、全編に美しいメロディと詩情があふれています。第1楽章の中間部にカデンツァがあるのが特徴で、初演当時大成功を収めました。この構造は後に多くの作曲家が取り入れました。ブラームスやチャイコフスキーのそれとともに、ロマン派のバイオリン協奏曲の傑作として、多くの音楽ファンに愛されている名曲中の名曲です。

メンデルスゾーン
ブラームス:「ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77」
ベートーヴェン、メンデルスゾーンとともに「3大バイオリン協奏曲」といわれる名曲。しかしバイオリニストが最も体力を消耗する曲でもあります。それはバックのオーケストラの楽譜がブラームス特有の交響楽的な緻密さでできているために、ソロのバイオリンの音量がバックのオーケストラに負けてしまうことがあるからです。それにもかかわらず、この曲はブラームスらしい曲想の雄大さと繊細さとを兼ね備えた傑作として、音楽史上燦然と輝いているのです。
チャイコフスキー:「ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35」
先の「3大バイオリン協奏曲」にこの曲を加えて「4大バイオリン協奏曲」といわれる傑作です。しかし完成当時は不運の連続で、時の大バイオリニスト、レオポルド・アウアーに総譜を送ったが「演奏不能」と送り返されたり、ウィーンでの初演では大批評家ハンスリックに酷評されたりでさんざんでした。その後アウアーもその美しさを認めて盛んに演奏するようになり、今日では押しも押されぬバイオリン協奏曲の名曲として親しまれています。尚、若きバイオリニストの登竜門として知られるチャイコフスキーコンクールのファイナルはこの曲の演奏で優勝が争われます。

チャイコフスキー
この他にもパガニーニ、シューマン、ブルッフ、シベリウス、バルトーク、ストラヴィンスキー、ベルク、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチetc.といった作曲家がバイオリン協奏曲の名曲を残しています。
このように大作曲家のほとんどがバイオリンのための名曲を残していることからも、この楽器がいかに魅力あるものであるかが理解できると思います。みなさんも数多くの名曲を聴いてバイオリンの持つ魅力を存分に味わってみてください。
楽器解体全書:バイオリンの目次
マメ知識
- バイオリンのf字孔は、昔はC字形やS字形だった
- なぜf字孔なのか
- バイオリニストは馬に頭が上がらない?
- スチール弦か、ガット弦か、それが問題だ
- あご当てはバイオリンの縁の下の力持ち?
- バイオリンのニスのほとんどは医薬品でもある
- バイオリンの名曲-独奏曲編 I
- バイオリンの名曲-独奏曲編 II
- バイオリンの名曲-独奏曲編 III
- バイオリンの名曲-協奏曲編 I
- バイオリンの名曲-協奏曲編 II
- ビオラの名曲-室内楽編
- ビオラの名曲-協奏曲編
- チェロの名曲-協奏曲編 I
- チェロの名曲-協奏曲編 II
- チェロの名曲-独奏曲編
- コントラバスの名曲-協奏曲編
- コントラバスの名曲-室内楽編
- コントラバスの活躍するオーケストラの名曲
- 弓の手で持つ部分の呼び方は?