バイオリンのできるまで
塗装と組立、+α

素材から削り出して仕上げた表板、裏板、横板、ネックを接着すると、ホワイトバイオリンができます。そして、塗装や組立の工程へと進みます。

ネック接着前のホワイトバイオリン

ネック接着前のホワイトバイオリン

この作業はホコリを嫌いますから、塗装の作業スペースは上から下へ一定方向に空気がゆるやかに流れるクリーンな状態にしています。塗装はまず、木に塗料が染み込まないように目止めをしてから、ゴールド、カラーを何層か塗ります。そのたびに乾燥や研磨をおこない、光沢のある表面に仕上げていきます。

塗装と塗装の間の研磨工程

塗装と塗装の間の研磨工程

続いて組立の工程です。指板やナットを接着し、駒を立てながら弦を張り、魂柱(こんちゅう)を取り付ける、という形でパーツを付けていきます。

駒を立てながら弦を張る

駒を立てながら弦を張る

f字孔から魂柱を立てている様子

f字孔から魂柱を立てている様子

魂柱は専用の道具を使って、f字孔から中に入れて立てます。魂柱は表板と裏板の間に挟んであるだけで接着はしません。正しい位置へぴったり垂直に立てる必要があって、駒との位置関係も考えながら微調整します。魂柱をカンとたたいて、その音を聞いて動いたかどうかを判断する場合もあります。

バイオリンは弾き込めば弾き込むほど、良く鳴るようになるもの。また、四季変動も楽器のゆがみやひずみを取ってくれます。その変化をもっとスピーディーにしたいと考え出したのが、弾き込み加速技術です。これによって、新作でも弾いたときにノイズがなく、響きが豊かになります。具体的には、駒やテールピースが楽器に与える振動を技術的に加えて、あたかも長期間弓で弾いたような状態にしているわけです。