バイオリンのマメ知識
バイオリンの名曲-協奏曲編 I

バイオリンの名曲には、これまで紹介した独奏曲の他に、オーケストラをバックに演奏する協奏曲の名曲群がひしめいています。それらの中から代表的なものを紹介してみましょう。

これはすべてのクラシック音楽の中でももっとも親しまれている名曲の一つです。曲は第1番「春」第2番「夏」第3番「秋」第4番「冬」の4曲からなり、ソロパートのバイオリンはテクニック的にも高度で、メロディも美しいので、ソロコンチェルトとして聴きごたえがあります。全体の曲想がドラマティックなために、映画やテレビドラマでもよく使われる曲です。

天才モーツァルトはバイオリンのための曲もたくさん残しています。5曲の協奏曲(7曲という説もある)と、何と43曲のバイオリンソナタを書いています。これほどたくさんのバイオリン曲を書いたことには理由があって、モーツァルト自身がバイオリンの名手だったのです。ピアニストとしてはもちろん超一流だったのですが、バイオリンやビオラを弾かせても一流だったことは、13歳のときにザルツブルクの宮廷楽団のコンサートマスターに任命されていることでも分かります。この曲がトルコ風と呼ばれるのは、第3楽章のロンドの中間部で、突然調と拍子が変わり異国調(当時の人が「トルコ風」と呼んでいた)の音楽が始まるからです。

これはベートーヴェンの唯一のバイオリン協奏曲です。バイオリン協奏曲の王者の異名にふさわしい雄大な曲想とメロディの魅力にあふれた名曲ですが、バイオリンの演奏テクニックからすると、面白く聴かせる見せ場があまりないために、バイオリニストにとっては大変な難曲ともいえます。逆にいえば純粋に音楽の表現力や音の美しさ、精神性が問われるだけにバイオリニストが一度は挑戦したいと思う曲でもあるようです。

ベートーヴェンのバイオリン協奏曲の自筆譜

ベートーヴェンのバイオリン協奏曲の自筆譜