オーボエのマメ知識
オーボエの名曲‐室内楽編

1780年、円熟期にさしかかったモーツァルトによって、彼の友人だったオーボエ奏者、フリードリッヒ・ラムの依頼で作曲されました。ラムは当時随一の名手として知られ、そのためかモーツァルトはかなり高度な演奏技巧をこの作品に織り込んでいます。そのむずかしさは現代のオーボエ奏者にとっても相当手強いものといえるでしょう。バイオリン、ビオラ、チェロはオーボエの引き立て役に留まることなく、時には主役のオーボエと積極的に対話をしていくところも、曲の魅力の一つです。

晩年のシューマンが作曲したこの作品は、オーボエ(またはバイオリン)とピアノのための三曲からなる小曲集です。曲名は、ドイツ・ロマン派の幻想小説の大家、E.T.A. ホフマンの同名小説から取られています。曲名のとおり、幻想的な気分に満ちた音楽といえるでしょう。特に第1曲におけるオーボエの悲しげな旋律は、聞き手を引き付け、ドイツ・ロマン派の世界を見事に体現しています。もともとピアニストを目指していたシューマンですから、ピアノのパートにもオーボエに勝るとも劣らない重要な役割を与えているのは当然でしょう。

プーランクが亡くなる1年前、1962年に作曲されたオーボエとピアノのための作品です。53年に亡くなった友人の作曲家プロコフィエフの想い出に捧げられました。プーランクは、平明で軽妙洒脱な内容の音楽を書き、20世紀の作曲家の中でもユニークな存在ですが、このソナタにも彼の個性が明確に表れています。最後の第3楽章は「哀悼」というタイトルをもち、友人の死を追憶するプーランクの心情が見事に音楽化されているのです。ピアニストとしても活躍し、作曲家として管楽器の用法に優れていたプーランクだけに、ピアノとオーボエの書法には面目躍如たるものがあります。

フランシス・プーランク

フランシス・プーランク(1899~1963)