オーボエのお手入れ
お手入れ用小物の使い方

キイオイルは木管楽器の基本なのですが、きちんとキイオイルを差している人は意外に少ないようです。キイは木管楽器で一番大切なものですから、しっかりオイルを差す習慣を身につけてください。
キイオイルの働きはキイの金属面の保護です。キイオイルを差すと、金属と金属の間にオイルが薄く広がってオイルの膜ができます。このオイルの膜によって潤滑されるので、金属同士が直接触れ合うことなく、滑らかに動くようになります。摩擦が減れば金属が擦れませんから、摩耗も少なくなります。さらに膜は水気や空気からも金属を守ってくれるので腐食やさびも防ぐことができるのです。

オーボエにはライトタイプのキイオイルを

オーボエにはライトタイプのキイオイルを

それからもう1つ、オイルを差さないことで起きる問題は、キイを動かした時に金属同士が直接擦れあってノイズが出てしまうことです。さらにひどくなるとキイにガタつきが出てきて、しっかりとホールを塞げなくなってきてしまいます。ここまでくると、かなり大変な修理になってしまいますので気をつけてください。1カ月に一度程度、手に汗をかくタイプの人は2週間に一度程度、キイオイルは必ず差すようにしましょう。
なお、ヤマハのキイオイルには3つのタイプがあり、ライトはピッコロ、フルート、オーボエなど、ミディアムはクラリネット、ヘヴィーはサクソフォン、バスクラリネット、ファゴットとなっています。タイプによって粘度が異なりますので正しいものを使うように注意してください。

木管楽器のジョイントにあるコルクに塗るコルクグリスは、塗り過ぎに注意してください。塗り過ぎたコルクグリスは、ホコリを付くやすくしますし、コルクを劣化させる原因にもなりかねないからです。
目安としては、組み立てるときに固すぎると思ったら塗るという程度で十分。固くなければ塗る必要はありません。とくにスティックタイプのグリスは、塗りつけたあとで指でのばしながらコルクにすり込むとよいでしょう。そして使い終わって楽器をバラしたら、ケースに入れる前にグリスを拭き取ってしまう。これを習慣にしてください。

コルクグリス

コルクグリス

また、塗りすぎたグリスが劣化してベトッと固く付着している場合は、新しいグリスを含ませたティッシュペーパーで一度コルク表面をきれいにするとよいでしょう。
なお、上管だけ持った時に下管が抜け落ちる危険もありますので、黒くつぶれたコルクは定期的に交換して下さい。

トーンホールのお手入れには、専用のトーンホールクリーナーを使います。トーンホールクリーナーの芯は針金でできており、モールのようにやわらかい表面で覆われています。これを使いやすい形に曲げ、トーンホールから楽器の内部へ入れて使います。木管楽器では、管の内部にあるトーンホールの縁に、スワブを通した際の細かなホコリがたまりやすいので、そのあたりを特にきれいに掃除してください。
トーンホールクリーナーの使い道は、これだけではありません。木管楽器の外側にあるキイの周辺には、複雑に入り込んだ凹凸がたくさんありますが、ここに溜まったホコリを取り除くのにも大活躍するのです。キイの周辺は、キイオイルを使うためホコリがつきやすく、掃除をしないでおくと動きに影響し、操作感も変わってしまいます。ひどい場合には異物が挟まっていたり、フタがうまく閉まらなくなったりと、メンテナンスが必要になってくる場合もあります。ふだんからなるべくホコリを取り除いておきましょう。

トーンホールクリーナー

トーンホールクリーナー

タンポは、キイを押さえたときにトーンホールをぴっちりふさぐ役割を果たす大事なパーツ。非常にデリケートで、水分や経年変化で劣化してしまうものなので、数年に1回は交換しなくてはなりません。けれどもしっかりお手入れすれば、いつもいい状態で演奏できますし、タンポも長持ちするものです。
タンポの寿命を短くする最大の原因が水分です。タンポは長時間湿った状態で放置されると早く劣化します。ですから演奏後は、ケースにしまう前にタンポが含んでいる水分をよく拭き取ることが大切です。そこで活躍するのがクリーニングペーパー。タンポとトーンホールの間にはさんで、キイを軽く何度か押すと、水分や油分を吸い取ってくれるのです。全部のキイが一様に湿ってしまうわけではないので、気になるところだけで大丈夫。ベタつきが気になるときは、ペーパーをはさんだまま楽器をケースに入れてもよいでしょう。

クリーニングペーパー

クリーニングペーパー