オーボエのマメ知識
オーケストラの音合わせをオーボエがリードする理由は?

オーケストラの演奏会へ行くと、演奏が始まる直前にオーボエがまずラの音(A音=標準音)を鳴らし、それに合わせて次々と各楽器がラの音を響かせて、オーケストラ全体の音を合わせていきます。コンサートの開幕を告げる、胸躍らせられる瞬間ですね。でも、なぜオーボエが最初の標準音を担当するのでしょうか?
その理由には2説があって、1つには音程が安定しているから、そしてもう1つは音程が不安定だからというもの。なんと、全く正反対のことをいっています。
そもそもほとんどの楽器は、温度や湿度などの状況によってピッチが不安定になるもので、奏者がチューニングできるような仕組みを備えているのが普通です。ところがオーボエは、構造上、リードの抜き差ししか、ピッチを調節できるところがありません。クラリネットで樽を抜くように、またバイオリンで弦の張り具合を変えるようには、音の高さを調整できないのです。オーボエが音の高さを変えるには、リードの幅や長さで調節するしかなく、演奏当日にその場でぱっと変えるのはほとんど無理。オーボエは音程を調整しにくい、だから周りの楽器が合わせなければいけない、それで音合わせの基準になっているというのが真相のようです。