ホルンのマメ知識
昼間は楽器、夜は晩酌の盃になったホルン

ホルンの先祖は象や牛などの角からつくられた角笛です。中世ヨーロッパの騎士たちの間では特に象牙製の角笛が愛好され、狩猟や出陣の合図として吹き鳴らされました。そして夜ともなれば、たちまち晩酌の盃に早変わり。なみなみと満たしたお酒を酌み交わして、夜が更けるまで昼の間の手柄話に花を咲かせたものでした。
楽器、食器兼用の豪華な角笛は、次第に領主や王の権力を示す象徴となり、やがては吹き口のない象牙盃もつくられるようになっていきます。つまり、ホルンは昔はお酒飲みの楽器であったわけですが、だからといって現代のホルン吹きの人たちがお酒好きだということはけっしてないそうです。
(参考資料:黒沢隆朝著「図解世界楽器大事典」1984年、雄山閣)