ホルンの選び方
材質によって音が変わる

管楽器の音色は空気柱の振動のあり方(波形)によって決まるため、単に楽器の形状や管の長さだけでなく、振動する管の材質によっても音色が微妙に異なります。
銅と亜鉛の合金である真ちゅう(ブラス)は、展延性(加工のしやすさ)や耐蝕性(さびに対する強さ)が鉄などより優れ、外観も美しいため、古くから金管楽器の管体材料に用いられてきました。そこから生まれる音が、金管楽器のイメージを形づくってきたのです。

トランペット、トロンボーン、ホルンなどでは、ベルに用いるブラスの種類(組成比による差)によって、音色のバラエティを生み出しています。

イエローブラスとゴールドブラスそれぞれの、銅と亜鉛の比率

イエローブラスとゴールドブラスそれぞれの、銅と亜鉛の比率

  銅が含まれる割合 音色
ゴールドブラス 比較的多い 一般的に幅のある豊かな音色
イエローブラス 比較的少ない 一般的に明るく、張りのある音色

ブラスのほかに「洋白(ようはく)」と言われる銅、亜鉛にニッケルが加わった、白色で光沢のある合金を用いることもあります。真ちゅう以上に耐蝕性に富み、クルスペタイプのホルンの管体はこれで作られています。ヤマハは深く重厚な音色が特徴の、一般工業用と組成比が異なる洋白を用いています。現在の500円硬貨も楽器に用いられるものとは組成比が異なりますが、洋白が使われています。

金色の管体にも、抜差管や吹込管などには部分的に洋白を使います。耐摩耗性や耐蝕性が求められるからです。そのため、ホルンは金銀のツートーンカラーになることが多くなります。

洋白の銅とニッケル&亜鉛の比率

洋白の銅とニッケル&亜鉛の比率

加工のすんだ金属管はヤスリやサンドペーパーで表面をなめらかにし、その後、研磨剤を塗ったバフ(布)を高速回転させて磨き、美しい金属光沢を出します。
最後に、ラッカー塗装かメッキをほどこして仕上げます。さびや汚れから守るのが主な目的ですが、音色にも微妙な影響があります。
ラッカー塗装は、ソリッドで暗めの音になり、フォルテの音抜けが良いと感じられます。「アンラッカー」と呼ばれるラッカー塗装をしない仕上げでは、一般的に深い響きになると言われています。