ホルンのしくみ
ほかの金管楽器とはちょっと違う

かつての角笛に比べて、管がくるくると曲がり、形もずいぶんと複雑になった現代のホルン。その特殊な構造がもたらす音色についてみていきましょう。
弦楽器や木管楽器にも合わせやすい、やわらかい音色を特徴とするホルンは、同じ金管やホルン同士で合わせる時には勇ましく吹くことも可能です。多彩な音色は、作曲家にとっても魅力的で、オーケストラでもホルンは出番の多い楽器の1つです。端的な例を聴き比べてみましょう。
1つはブラームス作曲「交響曲第1番」でのやわらかい音色、もう1つは、力強い印象のワーグナー作曲「タンホイザー」のそれぞれ一部です。

やわらかい音色

力強い音色

音色の違いがわかりましたか? どちらも空間いっぱいに広がる感じで素敵です。

肩に提げて持ち運んだため、角笛のベルは後ろを向くことになったと言われています。ホルンのベルも後ろ向きです。では、ベルが後ろ向きだと音にどんな影響があるのでしょう?
室内ではホルンはステージの後ろの壁に反射した音を観客に聴かせています。したがって、壁がどんな材質かでも音の印象が変わります。

一般にホルンの音がやわらかいと言われるのは、壁に反射して音のカドが取れるからで、試しにベルの真正面から聴くと金管特有の荒々しい音がします。聴き比べてみましょう。 ベルの後ろから聴くと迫力があります。

前から聴いた音はやわらか

後ろから聴いた音は荒々しい

金管楽器の多くは、右手でピストンあるいはレバーを操作します。しかしホルンは、ベルが体の右になるように構え、左手の人差し指、中指、薬指でレバーを押さえて演奏します。楽器を支えているのは左手の小指と、ベルの中に入れた右手の親指。左手の親指の水かきのところにも負担がかかりますね。楽器の重みで、よく練習している人にはホルンだこができることもあるようです。
重さは管の厚さにもよりますが、シングルで2.0キロ、セミダブルは2.3キロ、フルダブルは2.5キロ、トリプルで2.8キロくらいです。0.1キロ増えただけでも、演奏中は左手の小指にずっしりと重たく感じます。