ホルンのお手入れ
ホルンとの付き合い方

内側がボールペンの太さほどの細い管がだんだん広がりながら巻いているホルンは、口を清潔にして吹かないと、ある日大惨事が起こります。「音が出にくいな、変だな」と抜差管(ぬきさしかん)を抜いてマウスピースから息を吹き込むと…。得体の知れない物がビュッと空を飛びます。ヘドロのような塊が!
これは、ちゃんと歯磨きせずに吹いていたため、歯に付いた食べカスがたまって腐った物。食べながら吹くことはもってのほかです。いつも清潔に使っていても、定期的なお手入れは必要です。取扱説明書をよく読んで、こまめにお手入れしましょう。

ホルンを持つ時は、楽器の中央部分を持たず、外側の太い管を持ちましょう。中央にはスライドする抜差管があり、力がかかるとゆがんで動かなくなってしまいます。

イスに置くのは危険です。ベル部分が出っ張り、イスからはみ出がちなホルンは、だれかがコンと当たるだけで床に落ちて管が凹んでしまいます。当たった人のせいにしてはダメで、これはあくまで不安定な場所に置いた方の責任です。
置く場所はホルン全体が収まる、広くて平らな机の上。バルブが上に向くように置いても下に向くように置いても、楽器はバランスを取って安定します。絶対にしてはいけないのは、チューバみたいにベルを下にして置くこと。バランスが悪く倒れてしまいます。

ベルが取り外せるタイプのホルンは、演奏旅行に行くプロにも、学校のブラスバンドでも重宝されています。しかし、扱い方によっては重症を負うことも。
ベルと朝顔胴はネジで取り付けるのですが、このネジがちゃんと合った状態で締めないとネジの溝がつぶれてしまって二度とはまらなくなります。また、勢いをつけて締めたりして強く締めすぎてしまうと、外れなくなったりもします。こうした時はベルを力ずくで外そうとしてもダメです。朝顔胴がねじれて楽器が完全に壊れてしまうこともあります。少なくない事故なので、ベルを取り付ける時は優しくていねいに回しましょう。外れなくなった時は決して無理に取ろうせずに、楽器専門店に持って行ってください。

朝顔胴がねじれたホルン

朝顔胴がねじれたホルン

金管楽器の寿命はどのくらいでしょう。学校の吹奏楽部で先輩から後輩へ大切に受け継がれている楽器には、十年以上経った物もありますね。オーストリアのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団には何十年を経た楽器が現役で活躍しています。伝統を重んじ、昔ながらの音色を保っています。実は、丈夫な金属も長い歳月を経ると疲労し、レバーや手の当たるところには穴が開きます。でもそこにパッチを当てて修理し、大切に使っているのです。楽器の寿命は使い方で決まります。