ホルンのマメ知識
ホルンの名曲-室内楽編

このソナタは、モーツァルトからベートーヴェンの時代にかけてホルンの名手として広く知られたジョヴァンニ・プントと共演するために書かれました。おそらく史上初のホルンとピアノのための作品でしょう。名手のために書かれただけに、歌うような美しい旋律や難しい速吹きのパッセージなどが盛り込まれ、ナチュラルホルンの特性を最大限に引き出しています。もちろん、ベートーヴェンが自分で弾くために書いたピアノパートもホルンと同じくらい、技巧的です。

この作品は、シューマンの晩年にあたる1849年に作曲されました。シューマンはナチュラルホルンではなく、新しく開発されたバルブホルンのために書きましたが、おそらくバルブホルンのために書かれた最初の名曲と言うことができるようです。いかにもシューマンらしい、ロマンティシズムに溢れたピアノパートに半音階を自在に操るホルンが積極的に絡んでいくところがこの作品の大きな魅力でしょう。

ロベルト・シューマン

ロベルト・シューマン

20世紀ドイツの作曲家のなかでも、多作家として知られるヒンデミットは、様々な管楽器のためのソナタや協奏曲を残しています。この作品は、古典音楽の魅力を20世紀にふさわしいかたちで復活させようという新古典主義の様式で書かれており、ホルン奏者には難しいパッセージを難なく吹奏する技術とともに、朗々と旋律を歌うことも同時に求められています。楽器の使用法に長けたヒンデミットらしい作品と言うことができます。ちなみに、ヒンデミットは4本のホルンのためのソナタという珍しい作品も残しています。

パウル・ヒンデミット

パウル・ヒンデミット