トロンボーンのマメ知識
トロンボーンには神が宿る

15世紀半ばに発明されたといわれるトロンボーンは、当初、キリスト教の教会音楽と密接な関係をもっていました。そのため、18世紀に教会音楽以外で使われるようになっても、トロンボーンは神や超自然的なものを象徴する楽器として使用されるケースが多くありました。
モーツァルトの「レクイエム」でトロンボーンが、最後の審判を告げる楽器として印象的なソロを与えられているのは有名です。モーツァルトはオペラ「ドン・ジョヴァンニ」でも、ドン・ジョヴァンニが放蕩三昧を悔い改めずに地獄に堕ちる場面で、人智を越えた超自然的な力を象徴するためにこの楽器を使用しています。モーツァルトは先輩の作曲家グルックやサリエリのオペラからヒントを得たといわれています。
ベートーヴェンの交響曲「田園」では、最後の2つの楽章におけるトロンボーンの役割も興味深い例でしょう。雷雨や雷を描写した第4楽章では自然の猛威を前にした人間の無力さが表現され、第5楽章では神への感謝の気持ちがトロンボーンで象徴されているのです。

トロンボーン