トロンボーンのできるまで
ベルができるまで

高級品のベル(朝顔)は、サクソフォンでもトランペットでも、最初は同じ工程をたどります。一枚取り(1枚の板から加工してつくる伝統的な工法)のベルの場合、端と端を接合して焼いて熱を加え、酸で洗ってから、木づちでたたいて形を整えていきます。
それぞれモデルに合った芯金を使って形を整えていくのですが、けっして簡単な作業ではありません。高度な職人技です。

木づちでたたき、ベルを成形

木づちでたたき、ベルを成形

ベルは、たたいて鍛えることで、音の鳴りがまったく変わるのです。金属組織的には大きな変化が見られるわけではなく、不思議な現象といわなければなりません。

(左)ベル成形前(右)ベル成形後

(左)ベル成形前(右)ベル成形後

ベルの素材は大きく分けて2種類。5円玉のような色のイエローブラスと、10円玉のような色のゴールドブラスです。どちらも真ちゅうなのですが、ゴールドブラスはおよそ銅85%、亜鉛15%、イエローブラスは銅70%、亜鉛30%くらいで、比率が違うのです。音の感じは、イエローブラスが明るく張りのある音色、ゴールドブラスが艶のある柔らかい音色。音の好みで選べるようになっています。

左がイエローブラス素材、右がゴールドブラス素材

左がイエローブラス素材、右がゴールドブラス素材