トロンボーンのしくみ
伸びたり縮んだりする楽器

トロンボーンといえば、伸びたり縮んだりするところが面白い楽器。伸び縮みをするのは、構えた時に顔より前にある、2本の平行な管の部分です。この2本の管はスライド管と呼ばれていて、外管(そとくだ)と中管(なかくだ)の二重構造になっています。
トロンボーンは、左手で持ち、その左手の先の支柱を右手でつまみ、スライド管を伸ばしたり縮めたりして演奏します。したがって、スライド管がなめらかにスライドすることが、トロンボーンにとって、とても大事なことなのです。

トロンボーンは左手で持ち、右手で動かす。

トロンボーンは左手で持ち、右手で動かす。

トロンボーンのスライド管は、どんどん伸ばしていくと、最後には外れてしまいます。外管と中管は、ただはめ込んであるだけ。ですから不用意に右手を離すと、外側の管が自分の重さでストンと落ちてしまいます。スライド管は、そのくらいなめらかに動かしやすく作られているわけです。

スライド部分は伸びきると外れるので、落とさないように注意!

スライド部分は伸びきると外れるので、落とさないように注意!

このスライドのおかげで、トロンボーンは、なめらかに、無段階に音の高さを変えられるという、すばらしい能力を手に入れました。
例えばピアノだとドレミの切れ目がはっきりしていますね。ピアノの黒い鍵盤とすぐ横の白い鍵盤は半音の関係ですが、トロンボーンなら半音の半分の四分音(しぶんおん)も、その半分の八分音(はちぶんおん)も出せるわけです。

スライドを伸ばしたり縮めたりすると、音が変わる演奏例

トロンボーンのスライドは、細かく音の高さを揺らすことで、ふるえるような音を奏でる独特のビブラート奏法も可能にしています。スライドを使ったビブラートはトロンボーンらしい表現のひとつです。

ビブラート奏法の演奏例