トロンボーンのしくみ
[実験]まっすぐなトロンボーンをつくってみる
スライドを伸ばすと4m近くになる!
テナートロンボーンの管をまっすぐにのばした場合、その長さは、普通の状態で、マウスピースからベルの先端まで270センチくらい。スライドを伸ばすと380センチくらいになります。そこで実際にまっすぐなトロンボーンをつくって、どのような音がするか試してみました。
実験の手順
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1.塩化ビニール製の太い管1.5メートルと一回り細い管2.7メートルを用意する。
2.太い管の先に漏斗(じょうご)を付ける。(ベルの役目)
3.細い管の先に両面テープを巻き、その上に凧糸を巻き付ける。(ストッキングの役目)
4.凧糸を巻いた反対側にマウスピースを付ける。
5.太い管に細い管を差し込む。
塩化ビニール製まっすぐトロンボーン
実験の結果
スライドを伸ばす時の音
スライドを縮める時の音
音階も出せました!
こんな曲も吹けました!
見た目は風変わりな楽器ですが、意外にいい音がします。おもしろいのは、吹いている人には音が聞こえにくく、ベルから音が出てくるのがよくわかること。途中に孔(あな)が開いていないので、先まで音がもれないのです。吹き手のしゃべり声も管の中を通って、ベルからよく聞こえます。
スライドを動かす人と、吹く人が上手にタイミングを合わせれば、音階も出せました。練習すればもっと演奏できそうです。真ちゅう製のまっすぐなトロンボーンの実験
今度は塩化ビニールではなく、実際の楽器と同じ真ちゅうで、まっすぐなトロンボーンをつくってみました。
実験の結果
スライドを伸ばす時の音
スライドを縮める時の音
音階も出せました!
こんな曲も吹けました!
スライドを動かす時、やわらかい塩ビ管はかなりむずかしかったのですが、さすがに真ちゅう製はスルスルとなめらかに動かせました。塩ビ管の音に比べると、明るくて美しい音色です。
今回の実験で、塩ビ管トロンボーンの音と音の間が上がり切らず少し短調っぽく聴こえるのは、管が完全にストレートだからだと推測されます。じつは、トロンボーンはスライド部分を除くと、マウスピースからベルの先端まで少しずつ管が太くなっています。それで音程が取りやすく、明るい音色になるのです。この塩ビ管トロンボーンも、ベルの方に向かって何段階か管を太くしていけば、さらに音が取りやすくなるはずです。楽器解体全書:トロンボーンの目次
成り立ち