トロンボーンのできるまで
管にストッキング!?

スライド管はあくまでもまっすぐにつくるのですが、実はまっすぐといっても、中管の先は樽型になっています。
ちょっと見ただけでは気がつかない程度ですが、中管の先の約10センチは少しだけ太くなっていて、ここをストッキングと呼びます。そしてヤマハの場合は微妙に中央部分がふくらんで、樽型になっているのです。

中管と外管の断面図

中管と外管の断面図

ストッキングは近代になってから考案されたもので、中管の先の、直径で0.3ミリくらい太くしてある部分のこと。この約10センチの部分が外管とこすれてスライドするのです。
昔のトロンボーンは中管と外管が全部こすれていました。先だけ少し太くするなどという加工は難しく、またそのような発想がなかったのでしょう。ですから昔は、スライドさせるのがたいへんで、メロディを吹くのは難しかったのです。ストッキングのおかげで、トロンボーンの演奏は飛躍的に変わったというわけです。
そのストッキングを樽型にするのは、こすれる部分を減らすためです。単にまっすぐな管だと面で接触するので、摩擦による抵抗が多くなります。そこで、樽型にすることで線接触するように工夫したのです。