ドラムの成り立ち
フットペダルの進化

最も初期のフットペダルは、バスドラムのリム(ヘッドをシェルに固定する「枠」の部分)の上端からぶら下がったビーター(ばち)をペダルで操作するタイプと、現在のようにリムの下端に取り付けるタイプがありました。ペダルは木製でスプリングもついておらず、打ったビーターは脚の動きで戻しました。現在のように、スプリングでペダルが戻る機構が付いたのは1910年のこと。34年にはボールベアリングで動きをスムーズにしたタイプ、50年にはスプリングをフレームに内蔵し、スマートな外観ときめ細かな調節を可能にしたタイプが登場し、多くのドラマーの支持を集めました。
次の大きな改良は、チェーンドライブの登場です。70年代末のころニューヨークのあるドラム専門店の技術者が、ペダルの駆動部分を取り外し、替わりに自転車用のギアとチェーンを取り付けたのです。以前は金属パーツで駆動部を連結したものと、ナイロンなどのベルトを使ったものがあり、前者はダイレクトな操作感、後者は微妙な「たわみ感」を特長としていました。チェーンドライブは、その両方の特長を兼ね備え、しかも堅牢なペダルとして、広く普及していったのです。

フットペダル

8ビートや16ビートのリズムをシャープに刻むハイハットは、スネアドラムやバスドラムと並ぶリズムの主役。しかしその誕生は意外と新しく、今の形のハイハットが生まれたのは1930年頃のことです。
ハイハットの原型は、蝶番のついた2枚の板の上下にセットされた小さなシンバル。上の板にサンダルのように足を通して使うといった構造が、雪の中を歩くための「かんじき」に似ていたことからスノーシュー(かんじき)と呼ばれていました。かつてベイビー・ドッズという有名なジャズドラマーがミシシッピー河を往来する船上で演奏していたとき、曲のテンポにあわせて左足を床で踏み鳴らしているのを見たファンが、ペダルで2枚のシンバルを打ち合わせる道具をつくってプレゼントしたのが、ハイハット誕生のきっかけといわれています。

ハイハット