ドラムのしくみ
[実験2]タムタムの裏面のヘッドに穴を開けてみる

ヘッドに穴を開けるというのも、音の調整方法として、しばしば行われていることです。そこで、タムタムの裏面のヘッドにいろいろな穴を開けて、音を聞き比べてみました。

実験の手順

  1. 14インチ(約35.5センチ)のタムタムを用意する。
  2. 直径10.5センチと21センチの円の型紙をつくる。
  3. 2を使って1の裏面のヘッドにカッターで穴を開け、音を聴く。
タムタム

実験の結果

穴を開けていない場合(通常)

穴を開けていない場合(通常)

中央に直径10.5センチの穴

中央に直径10.5センチの穴

フチに直径10.5センチの穴

フチに直径10.5センチの穴

中央に直径21センチの穴

中央に直径21センチの穴

ヘッドを取った場合

ヘッドを取った場合

※ 実験による録音のため正しい音程と異なっております。

ヘッドに穴を開ける時は、タムタムの打面側を床に置き、裏面をカッターで切りました。フィルムはかなり厚くて手応えがありました。
中央に直径10.5センチの穴を開けて叩いてみると、開ける前に比べて明るく軽い音が出ました。カッターでさらに直径21センチの穴に広げると、今度は音が低くゴーンと響くように。最終的に裏面のヘッドとフープ(締め枠)も取ったら、床に跳ね返って戻ってくるような音がしました。
また、同じ穴の大きさでも中央ではなくフチにずらして開けると、音の印象はがらりと変わり、低音が響いて聴こえました。

中央に直径10.5センチの穴を開けた時に明るい音がしたのは、裏面の中央からシェル内の空気が抜け、裏面のヘッドが基本振動数で振動しにくくなり、その結果、一番低い基音が鳴らなくなったため。穴を直径21センチに広げた時には、裏面のヘッドの影響が少なくなって開口端な状態に近づき、基本振動数が下がることで低音が響くようになったのです。フチに穴の位置をずらすと、ヘッドが分割して振動する高次の固有振動が起こりにくくなり、相対的に低音が強調されて聞こえます。そのため、中央に穴を開けた時よりも低音が出るように感じるわけです。
バスドラムの場合は、ペダルの位置から4時か5時の方向にずらして穴を開けることが多いようです。