ドラムの成り立ち
ドラム誕生ストーリー

人類が、物を叩いて音を出すだけでなく、それによってさまざまな感情を表現するようになったのは、原始時代、大地を踏み鳴らしたり、身体を打ち鳴らしたりしたことから始まったといわれています。
物を叩いて音を出すことは、踊りの伴奏などで楽器としての役割を果たすだけでなく、遠くの人と交信する手段としても発達しました。また宗教的な儀式などでは、人々の心を動かす手段として効果的に活用されました。そうした多様な目的からも、さまざまな打楽器がつくられ、工夫や改良を加えて発達してきたのです。

スネアドラム(小太鼓)、バスドラム(大太鼓)、シンバルなどの打楽器をセットにして一人の奏者が演奏する「ドラムセット」が登場したのは19世紀末のこと。きっかけをつくったのはディー・ディー・チャンドラーという小太鼓奏者だったと伝えられています。チャンドラーは、右足でペダルを踏んでバスドラムを打つ方法を考案し、大太鼓と小太鼓をひとりでこなして人気を集めたといいます。それまでのバンドではリズムセクションに人数を取られていたのが、これによって少人数のバンド編成が可能になり、結果的にたいへん重要なアイデアの提供者になったということです。