サクソフォンの選び方
塗装によって音も変わる

金メッキは、ゴールドラッカーに比べると黄色がかった金色で、まさに黄金色。表面に5ミクロン塗るだけでも比重が2倍なので、音の反応がとても良いのです。吹く時の抵抗感が大きくて他のモデルより演奏にパワーが要りますが、多人数のオーケストラをバックに一人で吹けるだけの、カドが立つ(輪郭がくっきりとした)音が出せます。
ラッカーをかけないアンラッカーの場合、音が遠くには飛びません。が、カラオケボックスの中にいるかのように、自分に音が返ってきて自らの演奏に酔えるのが利点。自分の音に集中したいプレイヤーには、アンラッカーがぴったりなんです。

左から金メッキ、アンラッカー、ゴールドラッカー

左から金メッキ、アンラッカー、ゴールドラッカー

通常、ゴールドラッカーやクリアラッカーなど表面にラッカーをかけますが、ヤマハのカスタムサクソフォン82Zシリーズのアルトとテナーは、ラッカーをかけないアンラッカー仕上げが選べます。アンラッカーの場合、汗の中の硫黄分が真ちゅうの中の銅にふれ、少しずつ艶が消えて色がくすんでくるため、渋さを求める人に好まれています。

ラッカーをかけないなら、その分安くなるのでは?と思えますが、実はその逆で、4万円から4万5千円、通常より高くなります。なぜでしょう?
それは店頭のお客様へ美しい状態で届けるために、工場内で製作中にはピカピカに保っているから。素手でさわることなく特別に手袋をして細心の注意を払っているんです。やっぱり演奏する人が自分の手で、楽器の味わいを深めていきたいですものね。

管体が広がらないように、二番管は釘のようなシームで溶接するのですが、ローラーで目潰しするとシームは全然目につかなくなります。ところが年月を経て表面が腐蝕してくるとシームの凹凸が現れます。それが一枚板でていねいに作られた証で、愛好家の心をくすぐるんです。