トランペットのマメ知識
トランペットの名曲-協奏曲編 II

前項で紹介した協奏曲から時代は一気に100年以上も飛んで、20世紀に作曲された2曲のコンチェルトを紹介します。バルブトランペットが発明されて、トランペットの表現力は飛躍的に向上します。その結果オーケストラの中でもメロディー楽器として重要な役割を担うようになります。しかし反面19世紀のロマン派の作曲家はソロ楽器としてトランペットの曲を書くことはほとんどありませんでした。ソロ楽器としてのトランペットに注目したのは20世紀の作曲家達でした。

フランスの作曲家アンドレ・ジョリヴェは2曲のトランペット協奏曲を残しています。第1番は「トランペット、弦楽とピアノのコンチェルティーノ」と改題されたもので、パリ音楽院のコンクール用に作曲されました。当初はトランペットとピアノのための曲でしたが、後に弦楽パートが付け加えられました。ピアノと弦楽器の金属的な響きにトランペットが呼応していく曲想は、初演当時は相当スキャンダルだったようです。
第2番はジャズの語法を使いながら、ジョリヴェが探求し続けた呪術性や原初的なエネルギーが満ち溢れた作品で3楽章からなっています。バックのオーケストレーションはかなり変則的で、管楽器と打楽器主体のアンサンブルになっています。

アンドレ・ジョリヴェ

アンドレ・ジョリヴェ(1905~1974)

アンリ・トマジはマルセイユ生まれのコルシカ系の作曲で、舞台作品の作曲家として名声を確立し、管楽器の名曲を数多く残しました。この曲はジョリヴェ作品とともに20世紀のトランペット協奏曲を代表する名曲として多くのトランペット奏者がとりあげる曲です。
曲は3つの楽章からなり、映画音楽を思わせる曲想とオーケストレーションがトランペットのソロを引き立たせています。