トランペットの成り立ち
トランペット誕生ストーリー

トランペットの起源は、数千年もの過去にさかのぼることができます。ただし原始的なトランペットとされる楽器は、唇を振動させて音を出すだけのシンプルな管楽器ですから、発音のしくみが同じホルンの祖先とはっきり区別できるわけではありません。
古代のトランペットは、素材も木、竹、樹皮、粘土、人骨、金属などさまざま。あらゆる大陸に存在し、宗教的な儀式や呪術に使われていたと考えられています。

古代のトランペット。粘土製、ペルー。

古代のトランペット。粘土製、ペルー。

ギリシャ、ローマの時代には、戦争行進にうってつけの楽器ということでトランペットが用いられました。その後もヨーロッパの王侯は必ずといっていいほど軍楽用としてラッパ隊を持っていました。
トランペットが純粋に音楽の合奏として用いられるようになったのは17世紀のこと。しかしそのころになってもまだ、自然倍音しか出ない、いわゆるナチュラルトランペットだったので、楽器としての機能にはまだまだ限界がありました。

ティトゥスの凱旋門に描かれたトランペット。エルサレム、2世紀。

ティトゥスの凱旋門に描かれたトランペット。エルサレム、2世紀。