クラリネットのしくみ
クラリネットは管楽器一の個性派!?

A管の方が1センチほど長いですが、見た目にはあまり変わりません。でも音に違いがあって、A管はラの音が、B♭管はシ♭の音が基本です。

クラリネットの楽譜

たとえばクラリネットの楽譜でド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドを吹くと、実際の音はA管ならラ・シ・ド♯・レ・ミ・ファ♯・ソ♯・ラ、B♭管ならシ♭・ド・レ・ミ♭・ファ・ソ・ラ・シ♭になります。音を聞いてみましょう。

クラリネットの楽譜

A管(あーかん)で吹いた時の実音

A管(あーかん)で吹いた時の実音

B管(べーかん)で吹いた時の実音

B管(べーかん)で吹いた時の実音

音の高さが半音違います。
またA管とB♭管は、もともと音色に違いがあって、A管は太い深い音がするのでしっとりとした曲に、B♭管は明るい音なのでダンスや勇ましい曲に使われていました。作曲家はどっちのクラリネットを使うかを指定しています。
さらに、楽譜を見ると、A管の方は♯が3つ付いています。A管は♯が3つのイ長調が基本の音階なので、イ長調の曲は吹きやすく、♯が2つのニ長調の曲や4つのホ長調の曲では、クラリネットの楽譜の上では♭1つや♯1つになるので楽に吹けます。反対に、B♭管は最初から♭が2つ付いているので、楽譜の左に♭が並んだ曲が得意です。

音階と調についての詳しい説明はこちら

つまり、A管は♯の曲向け、B♭管は♭の曲向け。ちょっと難しいようにも思いますが、結果としてオーケストラのクラリネット奏者はA管とB♭管の2本を持って舞台に上がり、曲に合わせて持ち替えているのです。

例えば、第一楽章と第ニ楽章で調が変わったら持ち替えるとか、曲の途中でも転調したら持ち替えることがあります。マウスピースとリードを、もう片方のクラリネットにさっと付け替えて吹きます。あるいは樽ごと替えることもあります。忙しい楽器なのです。