クラリネットの吹き方
クラリネットならではの調べ

物悲しくむせび泣くような音も、あたたかい、おどけた感じの音も出すクラリネット。心が弾んでくるような明るいアルペジオも魅力的です。アルペジオとは1つの和音を分散させて奏でることです。チャイコフスキー作曲「くるみ割り人形」からアルペジオの響きを聴いてみてください。

アルペジオの演奏例

消え入るような音の演奏例

音楽記号でpp(ピアニッシモ)は「とても弱く」の意味。では、ppppppは? 「聞こえないくらい弱く」という意味のこの記号、チャイコフスキー作曲「交響曲第6番“悲愴”」の第一楽章に登場します。しかもファゴットのパートに。でも困ったことに、ファゴットにはこのような小さな音は出せません。そこで、招かれるのがバスクラリネットの奏者。ほんの2拍、4つの音だけのために待ち続け、闇(やみ)に消えていくようなppppppの音を吹きます。耳を澄ますといつまでも細く聞こえている気がします。聞こえるか聞こえないかの境目の音を出せるのはクラリネットの特技です。

ガーシュイン作曲の「ラプソディ・イン・ブルー」の冒頭に、まるでサイレンのような独特のフレーズがあります。指を徐々にずらしていって音をつなげて伸ばす感じ。この不思議な音はクラリネットならでは。ぜひ聴いてみてください。

グリッサンド奏法の演奏例