クラリネットのしくみ
[実験]ベーム式とエーラー式

クラリネットは18世紀初めごろに、ドイツのデンナーが発明したといわれています。彼の工房がつくったクラリネットはキイが2つでした。その後だんだんキイの数が増えていき、19世紀半ばに宝石職人の息子でフルート奏者でもあったベームのアイデアを元に、今とほぼ同じ16キイのクラリネットがつくられました。これが今も続くベーム式です。

19世紀半ばにドイツの楽器製作者のテオバルト・ベームが考案した方式のクラリネット。エーラー式に比べて指使いがとても簡便です。現在のクラリネットの多くがこの方式を採用しています。

ベーム式とエーラー式

ベーム式とエーラー式

エーラー式は、モーツァルト、ウェーバー、ブラームスなどの大作曲家が活躍した時代の方式を受け継いだクラリネットです。現在もドイツやオーストリアで広く愛用されています。
モーツァルトやベートーベンの時代はベーム式が生まれる前で、エーラー式の前身が主流でした。今でもウィーン・フィルハーモニー管弦楽団やベルリン・フィルハーモニー管弦楽団はエーラー式を使っています。指使いはベーム式より難しいのですが、伝統的な音がこれらのオーケストラでは重視されています。

小指のキイが平たいデザインで、小指を滑らせやすいように、ローラーが付いています。ちなみに、ベーム式の小指のキイはティアドロップ型で、19世紀末から20世紀初めごろ流行したアールヌーボー様式の名残なのです。