チューバの成り立ち
紆余曲折があったチューバの発展

バスチューバを発明したモーリツは、その3年後に、バスより音域の高いテナーチューバを発表しました。このテナーチューバの管を太くし、テーパーを強くしたのが、同じドイツのフェルディナント・ゾンマーという人。彼は自分のつくった楽器を"ユーフォニアム"と名付けました。この名前はギリシャ語で "気持ち良い音"を表す"ユーフォノス"から取ったものでした。

ドイツのゾンマーが"ユーフォニアム"を開発していたころ、フランスのパリでは、サクソフォンの生みの親として有名なアドルフ・サックスが、金管楽器のシリーズとして、サクソルン属の楽器を次々とつくっていました。音域の高いソプラニーノサクソルンからソプラノ、アルト、テナー、バリトンに続き、バスサクソルンをつくったところ、人気が出始めていたユーフォニアムとちょうど同じ音域だったのです。それでバスサクソルンをユーフォニアムの名前で売り出し、大好評となりました。
ちなみにサックスがつくったバリトンサクソルンが、現在のバリトンの原型になった楽器です。バリトンは、一般的な吹奏楽ではたまにしか使われませんが、イギリス式のブラスバンドではたいへん重要な楽器です。

現代のユーフォニアム

現代のユーフォニアム

現代のバリトン(バリトンホーン)

現代のバリトン、バリトンホーンとも呼ぶ

さまざまな低音金管楽器が生まれるなか、1840年代に、チェコのヴァーツラフ・チェルヴェニーという楽器製作者が、もっと音の低い楽器を発明しました。現在のチューバでいうと、C管(つぇー管)とB♭管(ベー管)にあたる楽器です。 チューバにはいろいろな調の楽器があるのですが、これはひとりの人が発明したのではありません。さまざまな立場の人が、それぞれの考えでつくった楽器が、実際に使われるなかで淘汰されて、現在に残ったものなのです。それらをまとめてチューバと呼んでいるわけです。