チューバのしくみ
チューバはスタイルもいろいろ

チューバは、バルブのシステムによって、ピストン式とロータリー式に分かれ、さらにピストン式には、トップアクション式とフロントアクション式があります。つまり3種類のスタイルがあるわけです。そして、それぞれのスタイルは、おもに使われる国が異なるのです。
まず、トップアクション式はイギリス、フランスなどで人気のタイプ。ピストンが上下に動き、右手で押さえ、構えた時に奏者の右側にベルがきます。
フロントアクション式はアメリカで人気があります。ピストンが前側に付いていて、右手で押さえ、奏者の左側にベルがきます。吹込管が短いのも特徴のひとつです。
ロータリー式はおもにドイツやオーストリア、ロシアなどで使われています。レバーを右手で押さえ、ベルは奏者の左です。
ベルの左右が変わるとオーケストラで吹く席の位置も変わりますし、同じメンバーで左右がそろっていないと、美しく並んで吹けません。また、スタイルによって調のバリエーションにも違いがあります。

トップアクション式はベルが奏者の右

トップアクション式はベルが奏者の右

フロントアクション式はベルが奏者の左

フロントアクション式はベルが奏者の左

ロータリー式はベルが奏者の左

ロータリー式はベルが奏者の左

ピストン式とロータリー式は、どちらも空気(息)の流れを切り替えるためのバルブシステムです。図のように、それぞれ切り替える時の空気の流れる角度や、バルブの動く長さが異なるため、音が切り替わる時の音色やスラーのかけやすさなどに違いが出てきます。

ピストン式の息の流れ

ピストン式

ピストン式

ピストン上下の運動距離は大きい

ピストン上下の運動距離は大きい

ロータリー式の息の流れ

ロータリー式

ロータリー式

約90°の回転で音が変えられるので、ストロークが少ない

約90°の回転で音が変えられるので、ストロークが少ない

ピストンチューバは2番管とベル先の長さが短いのに対し、ロータリーチューバは2番管とベル先の長さが長くなっています。
これは、ピストンチューバは2番管の下にバルブがあり右手で操作するため、2番管を低くしてベル先との長さを長くすると演奏のジャマになるからです。
逆にロータリーチューバはバルブが楽器の前面にありますので、2番管を高くする必要はありません。むしろ左手で楽器を支えたり、2番管越しに左手でチューニングスライドを操作したりできて便利なので、2番管が低くなっています。