エレキギターのできるまで
ネックとボディを形づくる

ネックは、ある程度の機械加工をした後、手加工で、裏側の微妙なアール(曲面)を削り出します。指定のアールになるように1フレットと12フレットの所でゲージを当てて確認し、点を結ぶように削っていくのです。

ネックの裏側を曲面に削っている様子

ネックの裏側を曲面に削っている様子

手製のカンナ、右上は形状を確認するためのゲージ

手製のカンナ、右上は形状を確認するためのゲージ

マホガニーのネック1本の握る部分を仮に仕上げるのに要する時間は約30分。メープルのような硬い木だともっとかかります。カンナは、市販品では合わないので、職人が自分で鉄の刃からつくった物。用途に合わせて、いろいろなカーブや平らな物をそろえています。

次はボディの裏に電気回路スペースを彫る作業です。大量生産なら機械にプログラムして自動化するところですが、特注品の場合は手作業でおこないます。といってもまったくのフリーハンドというわけではありません。ボディを載せている板の裏側に彫りたい形状のガイドラインを用意しておいて、作業中はそこを下からピンでなぞり、その動きに合わせて上の刃がボディを削っていくのです。彫る深さについてはミリ単位で職人が調整します。この後、表側のボディの周囲を手で削り、形を整えていくわけです。

ボディの裏側に電気回路スペースを彫る

ボディの裏側に電気回路スペースを彫る

機械に読ませるガイドライン

機械に読ませるガイドライン

表側の外周を手で削っていく

表側の外周を手で削っていく

ネックとボディの接合方法には、ネックを完全にボディに埋め込んで接着するセットネック、ネックをボルトで留めるボルトオンネック、ボディとネックを同一の木材から削り出す、つなぎ目のないスルーネックの3方式があります。ボルトオンネックは加工が簡単で、もし折れても交換できる利点があり、セットネックやスルーネックはより入念な製造工程が必要ですが、音の損失が少なくサステイン(音の持続性)が長いのが特徴です。

ネックとボディを接着するセットネック

ネックとボディを接着するセットネック

ネックが折れてもすぐ交換できるボルトオンネック

ネックが折れてもすぐ交換できるボルトオンネック

ネックとボディが完全に一体のスルーネック

ネックとボディが完全に一体のスルーネック