エレキギターのしくみ
ピックアップって、どんな物?

エレキギターの心臓部ともいえるパーツがピックアップ。弦の振動を電気に変える装置で、弦の真下のボディに埋め込まれています。 ピックアップには、理科の実験などにもよく登場する、コイルが使われています。エレキギターのピックアップは、黒いボビンに磁石の棒を6本挿し、周りにエナメル線などをぐるぐると巻きつけたもの。磁石を6本使うのは、6本ある弦の音を拾いやすいようにするためです。磁石の代わりに金属の棒を使う場合は、ボビンの下に細長い磁石を貼って磁力を持たせます。

ボビンに磁石を挿し、エナメル線が巻いてある。エナメル線の直径は0.05ミリくらい

ボビンに磁石を挿し、エナメル線が巻いてある。エナメル線の直径は0.05ミリくらい

コイルは普段使っている電話機やハンドマイクの中にも入っています。コイルと磁石の力を利用すれば、電源なしでも、音声を電気に変えることができるのです。 仕組みとしては、磁石とコイルの上で磁性体が動くと、コイルに電流が流れるという現象を応用したもの。エレキギターでいえば磁性体は鉄弦で、弦の振動の回数だけ電流に変化が起こります。弦の周波数の波と電流の波が連動する性質を利用して、音を電気に変換しているのがピックアップなのです。

ピックアップの仕組み

ピックアップの仕組み

コイルは、仕組みは単純ですけれども奥が深くて、巻き数や巻き方で、出てくる音も変わってくるものです。
まず巻き数については、たくさん巻けば音量が上がりますが、巻き過ぎると音がこもってきてしまいます。何千何百回と巻いた後でも、さらに数十回巻くことで音が違ってくることがあるのです。
巻き方については、ひと巻きして次に巻く際に間をどのくらい空けるか、ということが問題になります。間隔としては100分の数ミリという単位で、間を空けると高音域が良く出ます。また、巻く高さや上から見た時の巻いた面積も音に関係してきます。

エレキギターのピックアップには、コイルが1つのものと、2つを組み合わせたものがあります。コイルが1つのピックアップはシングルコイル、2つの場合はハムバッキングと呼んでいます。
コイルには外から来るノイズが乗りやすいのですが、ハムバッキングは2つのコイルがそれぞれに拾っているノイズをうまく打ち消し合う(ハムキャンセル)構造になっていて、ノイズが少なくなるのです。逆にシングルコイルの場合、ノイズは消去しませんが、シャキシャキとした歯切れのよい高音で持ち味を発揮します。

銀色の部分がピックアップ。写真は、金属のカバーの下に2つのコイルが入った「ハムバッキング」タイプ。

銀色の部分がピックアップ。写真は、金属のカバーの下に2つのコイルが入った「ハムバッキング」タイプ。

ハムキャンセルの仕組み

外来ノイズ(ハム)はコイルの巻方向・ターン数に左右されるためA,Bのコイルの巻方向を逆にしてノイズキャンセルをし、磁極の向きを逆にして出力の位相をそろえる。

外来ノイズ(ハム)はコイルの巻方向・ターン数に左右されるためA,Bのコイルの巻方向を逆にしてノイズキャンセルをし、磁極の向きを逆にして出力の位相をそろえる。