クラシックギターの成り立ち
クラシックギター誕生ストーリー

ギターのように弦をはじいて音を出す楽器を撥弦楽器(はつげんがっき)といいます。
古代エジプトの、紀元前3000年頃に描かれた絵に、ギターによく似た撥弦楽器が描かれているといいます。この楽器がその後どのように発展したのか、跡をたどれるような資料がないので断定はできないのですが、おそらくはさまざまなかたちに作り変えられつつ、世界に広まっていったものと想像されます。

14世紀から15世紀に移り変わる頃、スペインで、最初のギターともいわれる撥弦楽器が生まれています。この楽器はビウエラと呼ばれ、複弦4コースを備えていました。
複弦4コースというのは、1コースすなわちネックのほぼ同じ位置に2本ずつ、合計8本の弦が並んでいる楽器ということ。そして1600年頃から複弦の5コース、1800年代には単弦の6コースの楽器がヨーロッパで普及しました。この6単弦の楽器こそ、現代のギターの直接の先祖にほかならず、「19世紀ギター」とも呼ばれている楽器です。

復元された19世紀ギター、ネックの形もユニーク

復元された19世紀ギター、ネックの形もユニーク

左が現代クラシックギター、右が19世紀ギター

左が現代クラシックギター、右が19世紀ギター

19世紀ギターは、製作者によって形状もサイズもさまざまでした。しかしいずれも小ぶりなつくりで、小さな音しか出ない楽器でした。
それを大きくして音の面でも改良したのが、1817年にスペインで生まれたギター製作家、アントニオ・デ・トーレスです。彼は、弦やボディの長さを伸ばし、ボディの幅も広くして現代ギターの基礎をつくりました。そして彼の影響を受けた製作家たちがその製法を広め、さらに工夫を重ね、より現代的なギターをつくり上げていったのです。