クラシックギターのしくみ
[実験1]ボディの板の厚さを比べてみる

クラシックギターの音色づくりには、ボディがとても重要だとのこと。ボディに使う板厚を変えてみて、どんなふうに音にちがいが現れるかを試してみることにしましょう。

実験の手順

  1. 厚さ5ミリと15ミリの板を用意し、箱になるようにパーツを切る。
  2. それぞれの表板にサウンドホールを開け、箱に組み立てる。
  3. 留め具を付け、弦を張る。
  4. 弦をはじいて音を比較する。

実験の結果

5ミリ厚のボディの場合

5ミリ厚のボディの場合

15ミリ厚のボディの場合

15ミリ厚のボディの場合

※ 実験による録音のため正しい音程と異なっております。

実際のクラシックギターで使う板厚は3ミリくらいなので、この実験では相当厚い板を使っていることになります。
5ミリ厚・15ミリ厚のボディは両方とも、クラシックギターの第1弦である高音のE線を張ってあります。はじいてみると、5ミリ厚はかなりはっきりとした音が出たのに対して、15ミリ厚では少しこもったような小さな音に。板が厚過ぎると音にはよくないようです。
では、15ミリ厚の方が5ミリ厚より音が小さくなったのはなぜでしょう。
音の出方には大きく2種類あって、まず弦をはじくと弦の振動がブリッジに直接伝わり、表板から音が広がります。この音は高音が主です。また、弦をはじくと弦の振動が表板を振動させてボディの中の空気に反響し、その音がサウンドホールから外に聞こえます。この音は中・低音が主となります。
15ミリ厚の方は表板が厚すぎて振動しにくいため、表板から音が広がらず、ボディの中にも響いていかないので音が小さくなったのです。

クラシックギターの音色づくりで重要な役割を果たすという響棒。これがないとどうなるのか。ほかの素材を使うとどうなのか。音のちがいを確かめてみました。

実験の手順

  1. 表板用に3枚のアクリル板を用意し、サウンドホールを開ける。
  2. 2枚の裏側に響棒として、板やポリウレタンを貼る。
  3. それぞれ、側板と裏板を接着して箱状にする。
  4. 留め具を付け、弦を張る。
  5. 弦をはじいて音を比較する。

実験の結果

何も貼らない場合

何も貼らない場合

板を貼った場合

板を貼った場合

ポリウレタンを貼った場合

ポリウレタンを貼った場合

※ 実験による録音のため正しい音程と異なっております。

内側が見えるように、表板には透明のアクリル板を使いました。普通の響棒は割り箸くらいの高さ・形ですが、素材のちがいによる差を大きくするために、かまぼこ板のような形状の物を貼っています。
何も貼らない場合、一番大きな音が出ました。ただし音は単純です。板を貼った場合は明るい音が出ました。音に深みが出たようです。ポリウレタンを貼った場合は、音に延びがなく、余韻が短くなりました。

何も貼らない場合と板を貼った場合を聞き比べると、板を貼った場合の方が、音が高くなっています。これは板で区切られたエリアごとに振動の波が分割されて、振動が速くなり、高い音が出やすくなるためです。もし振動しているエリアを目で見られるとしたら、こんなイメージです。

また、板をポリウレタンにすると表板を押さえている力が弱くなり、振動も弱まります。すると、板の場合の引き締まって高い音が、少しやわらぎます。余韻が短いのは、振動がポリウレタンによって吸収されてしまうためです。

何も貼らない場合

何も貼らない場合

板を貼った場合

板を貼った場合