クラシックギターのマメ知識
ナポレオンはギター弾きだった

ギターは今日、最もポピュラーな大衆的な楽器のひとつですが、かつてはヨーロッパの王室や貴族の間で、特に婦人にもてはやされた高貴な楽器でした。17世紀のイギリス王室について詳しく記録したA.ハミルトン著「グラモン伯爵の備忘録」によれば、当時の宮廷ではあらゆる美人の化粧台の上に、口紅やつけぼくろと並んで、一挺のギターが置かれているほどだったとか。人気の秘密は演奏が比較的手軽で、自分ひとりでも楽しめ、なんとなくカッコイイというイメージがあったためでしょう。しかし、その製作には楽器職人による精密な手作業が必要だったので、とても庶民に手の届くものではなかったようです。

ナポレオン

ナポレオン・ボナパルト(1769~1821)も実はギターの愛好者の一人だったらしく、その死後に所蔵のギターが発見されています。あの武人、ナポレオンが、愛用のギターをぽろんぽろんとつまびいているところを想像すると、ちょっと意外な気がしますね。
(参考資料:ハーヴェイ・ターンブル著・浜田滋郎訳「ギター ─ ルネサンスから現代まで」1985年音楽之友社)