アコースティックギターのできるまで
ボディを組み立てる

側板は、ゆるやかな曲線を描いて、表板と裏板をきれいにつなぎます。側板になる木材は、お湯に浸けてから、熱を加えて3の字に曲げるのです。それから枠に入れてブロックを付けて固めます。ブロックというのは、ネックにボディが合体する所に、側板の内側から付ける木製のパーツのことです。また、表板と裏板にぴったりとくっつくように、両端には前もってぐるりと、薄い、切れ目の入った隅木を貼り付けておきます。

枠に入れて左右の側板を接着中

枠に入れて左右の側板を接着中

表板と裏板にしっかり接着するための隅木

表板と裏板にしっかり接着するための隅木

ボディとネックをしっかりと合体させる役割を担うブロックは、上部(表板側)に溝が彫ってあります。この溝に後でネックから続く直径約6ミリの鉄芯を通すのです。
この鉄芯は、ゆるやかなカーブを描いていて、ネックが反らないよう補強すると同時に、状態によってはカーブを微調整できる構造になっています。鉄芯の先には六角形のナットが付いていて、これを締めたりゆるめたりすることで、鉄芯のカーブを調整し、ネックの反りを修正するのです。基本的には、ネックが鉄弦に引っ張られて順反りしたら、ナットを締めることになります。

ネックのジョイントを強化するブロック

ネックのジョイントを強化するブロック

ネックの反りを微調整するしくみ

ネックが順反りしたら鉄芯のナットを締める
ネックが順反りしたら鉄芯のナットをゆるめる

必要な加工を経た表板と裏板と側板は、いっしょに枠に入れて、同時に接着します。枠ごとぐるぐると縛り、そのまま90分から2時間ほど置いて、接着完了です。

表板・裏板・側板を接着する前

表板・裏板・側板を接着する前

ボディとネックは、アリ接合という方法で合体させます。アリ接合というのは、ネックからの台形の出っ張りをボディの台形の凹みにはめ込むことで、間が締まってぴったりと接合できるのです。釘などを使わず面で接着するので、音の伝達に理想的です。アメリカでは、形が鳩のしっぽに似ているので、ダブテイルジョイントと呼んでいます。

アリ接合のために削ったネック、対になるようにボディ側も削る

アリ接合のために削ったネック、対になるようにボディ側も削る