ファゴットのマメ知識
大指揮者のひと言でバッソンは人気ガタ落ち?

木管の低音楽器として、19世紀まではドイツ式のファゴットと人気を二分していたフランス式のバッソン。その人気が凋落していった流れの背景には、オーケストラ指揮者たちのさまざまな働きかけもあったようです。 まず1930年代に、イタリアの大指揮者、アルトゥーロ・トスカニーニがアメリカのNBC交響楽団の指揮者だったときのこと。当時アメリカではドイツ式が主流で、ヨーロッパはバッソンが主流でしたが、トスカニーニは正しい音程で演奏できるドイツ式の優位性を欧州公演でアピールしたのでした。また、1969年にヘルベルト・フォン・カラヤンがパリ管弦楽団の指揮者になったとき、彼はファゴット奏者に「まだバッソンを吹いているの?」といったとか。 現在ではファゴットといえばドイツ式のことを指しますが、バッソンの愛好家もまだまだ多く、フランス語圏では今も使用されています。