ファゴットのマメ知識
とにかく湿度に敏感な楽器

ヨーロッパのとあるオーケストラが来日公演した時のこと。ファゴット奏者だけはホテルの部屋から一歩も出ず、ひたすらリードを削っていました。困ったことに、ヨーロッパでつくったリードでは楽器の音が変わってしまい、日本用のリードが必要になったのです。空気が乾燥しているヨーロッパと湿度が高い日本の環境の差が、木管のファゴットに大きく影響したのです。
ファゴットは湿度の影響を大きく受ける楽器で、梅雨時など、湿気で木がふくらんで楽器が抜けなくなったり、組み立てる時もはまりにくくなったりすることもあります。ファゴットには、ジョイントのつなぎ目に糸が巻き付けてあるタイプがありますが、これは糸を部分的にほどいたり巻き直したりして太さを調整するための工夫。それほど敏感な楽器なのです。

赤い糸が巻き付けられたつなぎ目

赤い糸が巻き付けられたつなぎ目