ファゴットのしくみ
[実験1]斜めの音孔と垂直の音孔で音を比べてみる

音孔(トーンホール)の管が斜めかまっすぐかで音はどう変わるか? 塩化ビニールの管で実験してみました。

実験の手順

  1. 同じ長さの塩化ビニール管(塩ビ管)を2本用意し、同じ位置に穴を開ける。
  2. それぞれの穴に、垂直か斜めにストローを付ける。
  3. 塩ビ管の表面からの距離が同じになるように、ストローを切る。
  4. ボーカルをはめて吹き比べる。

垂直の音孔の場合

垂直の音孔の場合

斜めの音孔の場合

斜めの音孔の場合

※ 実験による録音のため正しい音程と異なっております。

塩ビ管はファゴットの内径の管、ストローは音孔の管の役割を果たしています。ストローを塩ビ管に取り付けた位置は、垂直の場合も斜めの場合も同じところ。これはストロー以外の条件をそろえるためです。
実験によって音を比べてみると、垂直の場合よりも斜めの場合のほうが、少し音が低くなりました。これは斜めの場合のほうが管の長さが伸びたから。7センチと13センチのストローの差、6センチ分が、音の高さの差になって表れたわけです。実際のファゴットでは、ここまで肉厚の部分はありません。テナージョイントにある約4センチの音孔が最長です。 ファゴットを設計する場合、音を少しだけ低く調整する方法はいろいろあります。この実験のように音孔の角度を変えて管を長くするとか、音孔を小さくするとか、内径側の出口の位置を管が長くなる方向にずらすなどです。ただし全長に対する音孔の数や大きさが音に影響してくるので、音程の調整は簡単ではありません。