ファゴットのしくみ
[実験2]管をいろいろな材料で包んでみる

ファゴットは、管を包む木の厚みによって、音色も変わってくるといいます。そこで何も包まない管や、いろいろな材料で包んだ管をつくって、音色を聴き比べてみました。

実験の手順

  1. 塩ビ管でUの字をつくる。
  2. 管を石工粘土で包む。
  3. 管を緩衝材(かんしょうざい)で包む。
  4. ボーカルをはめて吹き比べる。

実験の結果

塩ビ管だけの場合

塩ビ管だけの場合

石工粘土で包んだ場合

石工粘土で包んだ場合

緩衝材で包んだ場合

緩衝材で包んだ場合

※ 実験による録音のため正しい音程と異なっております。

塩ビ管だけの場合でも、ボーカルの先にあるリードの働きで大きな音がします。けれども石工粘土で包んだ場合の音を聴くと、印象は一変します。音量は少し小さくなりますが、響きがやわらかく、心地よい音になったのです。これは石工粘土が塩ビ管といっしょに振動して共鳴したためのようです。緩衝材で包んだ場合は、強く吹いても苦しいばかりで、こもった音しかしません。緩衝材の空気の層が、塩ビ管の振動を吸収しているためと考えられます。
楽器は管体も振動に共鳴して、相互作用で音が出ているので、木のように音の響きを止めず、ほどよく共鳴する素材が適しています。特にファゴットの場合は密度がほどよいメープル(楓)が最適なのです。