ファゴットのしくみ
バラバラになる長い管

ファゴットはいくつかのジョイントから成っている木管楽器で、一般的には5つに分かれます。ボーカルの次がテナージョイント、下がダブルジョイント、上に上がってバスジョイント、ベルジョイントの順です。

左上からベルジョイント、バスジョイント、テナージョイント、ダブルジョイント

左上からベルジョイント、バスジョイント、テナージョイント、ダブルジョイント

内側で管が折り返しているダブルジョイントには、名前のとおり、管が2本通っています。写真のように断面は楕円で、細い方の管がテナージョイントからの管、太い管がバスジョイントに向かう管です。太い管の内側には木の肌が見えていますが、細い管の入口は金属でカバーしてあります。奥が黒いのは補強や湿気対策のためにエボナイトのパイプが入っているからです。テナージョイントの内側にも黒いエボナイトのパイプが入っています。

左がテナージョイント側、右がバスジョイント側の管

左がテナージョイント側、右がバスジョイント側の管

左がテナージョイント用、右がダブルジョイント用のエボナイトインナーパイプ

左がテナージョイント用、右がダブルジョイント用のエボナイトインナーパイプ

ダブルジョイントの底の部分に付いているプロテクターキャップを外すと、楕円状にふくらんだ金属製のU字管があります。U字管の上側にはコルクパッキンが付いています。ダブルジョイント内の2本の管はU字管で向きを変えるわけです。そのためU字管は、たいへん精密につくられています。これを落としてへこませたりすると、音に悪い影響を及ぼすことにつながります。

ダブルジョイントの先とU字管

ダブルジョイントの先とU字管

U字管は、1825年ごろ、ドイツの軍楽隊長のアルメンレーダーがつくったパーツです。ちなみに、フランス式のバッソンには音量が小さいという難点がありましたが、長らくU字管を採用しなかったことも、その要因のひとつでした。

昔のバッソンにはU字管がなかった

昔のバッソンにはU字管がなかった