ピアノのできるまで
さらに整調、そして仕上げへ

シーズニングが終わったらもう一度自動打鍵機にかけて、整調の第2段階、さらに仕上げへと進めて行きます。
整調とは、鍵盤とアクションの動きを整えて演奏者のタッチに正確に応えられるようにすることで、先ほど紹介した鍵盤の高さ揃えや深さ調整、それにアクションの調整工程も整調作業の一部です。1つの鍵盤について調整項目は10以上あり、それが88鍵あるので全体では1000を超えるわけです。

アクションを微調整中

アクションを微調整中

3本の脚とペダルを取り付けてから、仕上げ調律に移ります。調律は音の高さを正しく調整して、音階をつくる工程です。弦が3本ある音域では、左右の弦が振動しないように道具で押さえておいて、まず中央の弦の音を合わせます。それから中央を基準に、左右の弦を合わせていきます。

さらに仕上げ整調をおこない、アクションの動きを完璧にします。担当するのは経験の豊富なベテランの技術者です。後ろの工程になるほど、ピアノを知り尽くした技術者でないと調整ができません。

鍵盤を押しながら調律

鍵盤を押しながら調律

次に整音の工程。音色や響きのバランスを整えるために、ハンマーの硬さや弾力を調整する作業です。具体的には、ファイリングといって、ハンマーの表面を紙ヤスリで削って毛羽立ちを取り、中の締まったところを出したり、形を整えたりします。3本弦や2本弦の箇所ではそれぞれの弦を同じようにハンマーが打つよう、形をつくります。

紙ヤスリで削るファイリング

紙ヤスリで削るファイリング

さらに、ハンマーに針を刺して嫌なノイズを取ったり、音の芯や弾力性を出すようにしたりします。これが整音の主要な作業で、どこをどれくらいほぐすかというところに、ベテランの技術者のみが知るノウハウがあるのです。

ハンマーにピッカーで針をさす

ハンマーにピッカーで針をさす

整音が終わったら全体の検査をします。鍵盤やアクションの関係がOKなら譜面台を付けて、さらに傷や汚れを細かくチェックし、ようやく完成となります。国内向けは布団にくるんで梱包します。海外向けでは船旅となり、送り先で開けられるまでに2週間以上かかるので、防湿フィルムにくるみ、ビニールで密封して送り出します。

国内向けは布団にくるむ

国内向けは布団にくるむ

脚を外し、立てて梱包

脚を外し、立てて梱包