ピアノのできるまで
弦を張り、鍵盤とアクションを載せる

響板を貼りフレームを納めたボディに、約230本の鋼鉄の弦を張ります。全ての弦の張力を合わせると約20トン。それを強固な金属フレームが支えます。
弦の太さは20段階ほどあって、音域に合わせた太さの弦を、中音域、高音域、低音域の順に、1本ずつ張っていきます。

弦を手作業で張るようす

弦を手作業で張るようす

弦を張り終わったら最初の調律。まだ鍵盤やアクションが組み込まれていないので、弦を直接はじいてピッチ(音の高さ)を合わせます。

弦をはじきながら調律中

弦をはじきながら調律中

続いてピアノ本体に鍵盤を載せます。棚板という台の上を滑らせて入れ、前後左右の位置を調整したら、次に鍵盤にアクションを取り付けます。これで鍵盤とアクションが初めて合体した訳です。

ハンマーを受け止める黄色いバックチェックを付けた鍵盤

ハンマーを受け止める黄色いバックチェックを付けた鍵盤

ひと通り動きを調整した後、鍵盤の高さを測定機で測ります。高さの調節に使うのは五円玉のような形をした紙。黒鍵、白鍵、それぞれの高さを揃えるために必要な紙の種類と枚数は、コンピュータが算出します。

アクション

アクション

ピアノに鍵盤とアクションを載せる

ピアノに鍵盤とアクションを載せる

レーザーで高さを測定中

レーザーで高さを測定中

鍵盤の下の木枠。高さ調節には赤いフェルトの下に紙を挟む

鍵盤の下の木枠。高さ調節には赤いフェルトの下に紙を挟む

高さの調整の次は深さの調整です。鍵盤の深さは自動打鍵機にかけた後に測ります。
自動打鍵機は、文字どおり、鍵盤を自動で押す機械。アクションにはいろんな接合部分があるので、自動打鍵機にかけて動きをなじませる慣らし運動をするわけです。その後、鍵盤深さ測定器が各鍵盤を押した時の深さを測り、すべての鍵盤が同じ深さになるために必要な紙の種類や枚数を示します。ただしコンピュータの指示どおりにしても、人が演奏する時の手の感覚に対しては完全でないこともあります。そのため、最終的には感覚の鋭い人の目と手で再調整するのです。

自動打鍵機にかけるとハンマーも動く

自動打鍵機にかけるとハンマーも動く

0.05ミリから0.60ミリまでの薄い紙

0.05ミリから0.60ミリまでの薄い紙

深さ調整用の紙は緑のフェルトの下に

深さ調整用の紙は緑のフェルトの下に

鍵盤を複数同時に触ってチェック

鍵盤を複数同時に触ってチェック