リコーダーの吹き方
身近だけれど奥深いリコーダーの演奏

リコーダーはブロックという特徴により、誰でも簡単に音を出すことができます。
また、一般的に、笛は指で音孔をたくさん押さえるほど、音程が下がります。しかしリコーダーでは後ろの音孔をちょっと開けるだけで、音孔をたくさん押さえているにもかかわらず、オクターブ上の音、2倍音、3倍音など高い音が出せるのです。

また、吹きながら指をずらして音孔を徐々に開けていくと、音が一音分なめらかに変化します。
この奏法は「グリッサンド」もしくは「ポルタメント」といい、現代のリコーダー作品などでしばしば使われます。

高い音出す指使い

呼吸しやすい姿勢で、体全体を共鳴胴と考え、胸鎖関節から肩、ひじ、手首、指までで円を描くようにイメージして楽器を支えます。

立って演奏する場合は、足を少し開き、つま先にやや体重をかけます。座って演奏する場合は、足が床に着くように椅子に浅く座ります。
楽器は、下唇、左手の中指、右手の親指の3つの点でバランスよく支えます。特に右手の親指の位置に気を付けましょう。右手中指の後ろか、少し上がよいでしょう。
指の長さや形は十人十色のため、右手親指の位置はそれぞれ自分で見つけることが最良です。特に初心者は、右手親指の位置が上すぎる場合が多いため注意しましょう。

左:立った時の構え方 右:座った時の構え方 モデルは吉澤 実さん(リコーダー奏者)

左:立った時の構え方 右:座った時の構え方 モデルは吉澤 実さん(リコーダー奏者)

息を一定に出していくイメージをもちましょう。
鼻でゆっくりと息をすると、胸だけでなく背中の両側に息が入ることが分かります。通常は口から息を吸って同じ場所に入れます。
リコーダーで音を出すとき、初心者は吹き込みすぎてしまいがちですが、楽器からはねかえってくる圧力と抵抗感を感じながら、程よい量の安定した息づかいを心がけましょう。歌を歌うように、支えのある呼吸法を目指しましょう。

無理に指の腹で音孔を押さえる必要はありません。手の大きな人、指の長い人は第二関節でもいいので、指が痛くならないような、自分が押さえやすい方法を探してみてください。

音がちゃんと出ないのは、空気が抜けているか、息が強すぎるかのどちらかです。 まずは、演奏中、他の人に指が音孔をきちんと押さえているか見てもらいましょう。右の小指で押さえる時に、薬指がつられてずれてしまうなど、自分で気づかないこともあります。
息が強すぎる場合、ピーッと音が鳴ることがあります。これは1オクターブ上の倍音になって音がひっくり返っているということなので、息を弱めに吹きましょう。息はコントロールが大事です。

木製リコーダーの場合、ブロックに使っているのは赤杉(レッドシダー)。高級鉛筆の木で、腐りにくいため船のデッキにも使われている素材です。最近ではまん丸でいい香りの防虫剤になっていたりします。
赤杉は音をまろやかにする効果がありますが、リコーダーを吹き過ぎて水分が飽和状態(これ以上吸収できない状態)になってしまうと、音の出が悪くなります。一日に何時間も吹くと、音の調子が悪くなるのはこのため。溝にも水滴がたまるので、しっかりと取りましょう。

左は黒檀(こくたん)、右は黄楊(カステロウッド) のリコーダー。ブロックはどちらも赤杉。

左は黒檀(こくたん)、右は黄楊(カステロウッド) のリコーダー。ブロックはどちらも赤杉。

リコーダー演奏でもっとも人気があるのは、やはりアンサンブルです。特に、ソプラノ、アルト、テナー、バスによる四重奏がもっとも一般的です。アンサンブルの場合、同じ曲でもパートによって難易度が違うので、初心者は易しいパートを選んでみてはいかがでしょうか。上手い人と一緒にアンサンブルをすると、自分も上達したようで、大変楽しく演奏できます。