リコーダーのしくみ
リコーダーの音程はどうつくるのか

リコーダーの音程をつくるには、音孔(トーンホール)の大きさ、音孔の位置、管の内部の形状(メンズール)、この3つが大事です。これらが密接に関わってリコーダーの音の高低ができあがります。

リコーダーをよく見ると、孔の大きさがさまざまであるのがわかります。これは音程をつくりだすために、孔の位置、管の内部の形状と合わせて500年以上も試行錯誤した結果です。

そのため、さまざまな工夫がされています。たとえば、1ヵ所に2つの孔が開いているダブルホールは、2つの孔の合計面積が一音分の孔の面積と同じになっています。
また、構えた時、右側の孔だけ押さえると半音が出ますが、この2つの孔が全く同じ大きさだと、しっかりとした半音にはなりません。
右手の小指と薬指で押さえる、下の2つのダブルホールも一見同じ大きさに見えるかも知れませんが、よく見ると、実はちがうことがわかります。

音孔は等間隔に開いていると思いがちですが、そうではありません。
等間隔ではなく、しかも、まっすぐでもありません。まっすぐになっていないのは、指で押さえやすい位置に孔を開けたためです。
実は、同じ高さの円周上なら、どこに孔を開けても同じ音が出るのです。伸ばしてみるとわかりますが、人間の指は、中指と薬指がくっついている感じになっています。よってリコーダーの孔の位置も、中指と薬指で押さえる孔の距離は短かめにしてあります。
音の高さ、孔の大きさと絡めて合わせて、すべての孔が押さえやすくなるように位置を調整してあるわけです。

音孔の位置と大きさの関係は、たとえば、指で押さえやすいように孔の位置を下に下げるとすると、孔の大きさを大きくしないと音程が保てません。逆に、孔の位置を上げる時は孔の大きさを小さく設計します。
木製リコーダーの場合、最終調整で音程が微妙に合ってない時は、孔の大きさを微妙に変えるべくナイフを入れます。

木製のアルトリコーダー

写真は木製のアルトリコーダー。孔に大小があり、右手と左手で押さえやすいように弧を描いている

管の内部は、横から見た時にまっすぐではなく、自由な曲線を描いています。つまり、点と点を直線で結んだ円すい形ではなく、だんだん変形しているのです。上からすーっと来て下の方でキュッと絞って音程を出す、独特の曲線です。
この内部の形状を変えると、管の長さも、孔も、孔の押さえ方も変えていないのに、音程を変えることができます。内径を部分的に狭めるなど、さまざまな試行錯誤がされているのです。

リコーダー内部の形状イメージ

リコーダー内部の形状イメージ