パイプオルガンの弾き方
多彩な音色を響かせる

パイプオルガンは、設置場所に合わせてつくるため大きさやパイプの数、また鍵盤の数などはそれぞれ異なります。手鍵盤や足鍵盤に加えて、さまざまな音色を選べるため、非常に幅広い音域をカバーできます。
音階は、現在は1オクターブを12音とする12平均律が用いられています。

パイプオルガンの音域の例

パイプオルガンの音域の例

パイプオルガンの鍵盤は、強く押しても弱く押しても音量や音色に変化はありません。そこで複数のストップを組み合わせて音の厚みを増し、強弱の差を表現します。つまり、音を足していくという考え方です。
また、出ている音を小さくするために箱も利用します。音量の調節は、一群のパイプを箱の中に収め、縦型のブラインドのようなスエル扉を開け閉めすることで行います。演奏者はペダルを動かして、扉を閉めながら音をだんだん小さくしたり、扉を開けていってだんだん大きくしたりすることができます。

ペダル操作で直角まで開き、完全に閉まるスエル扉

ペダル操作で直角まで開き、完全に閉まるスエル扉

パイプオルガンでは、音色を混ぜて新しい音色をつくることもできます。
たとえば、フルートの音色1本でメロディを弾けば優しい音になりますが、オクターブ離れた2本を同時に鳴らせば、軽やかですがしっかりとした音になります。まるでオーケストラのピッコロとフルートの関係と同じ。この2つは音の高さがちょうど1オクターブ離れています。

オルガンのストップの中には特殊な高さの音を出すものがあります。たとえば基準の音に対して、「1オクターブ上の音」、「1オクターブと5度上の音」、「2オクターブ上の音」、「2オクターブと3度上の音」を奏でる5本の同じ音色のパイプで構成されたストップがあります。
パイプの長さは、基準の音を1とした場合、順に1/2、1/3、1/4、1/5となります。そこで、このようなストップを使って「ド」の鍵盤ひとつを押すと、「ド・ド・ソ・ド・ミ」と音程の違うパイプを同時に鳴らすことができるのです。

パイプオルガンの音域の例

パイプオルガンの音域の例

音程の違うパイプが同時に鳴ると和音になると思われるでしょうが、パイプオルガンの場合、ひとつの音に溶け合い、音色が成長し、強く華やかになります。
倍音の組み合せ方には名前が付いていて、代表的なものに、「コルネ」(1+1/2+1/3+1/4+1/5)という組み合わせがあります。

標準の音~2オクターブと3度上の音

全部を一度に鳴らした音(コルネ)

オルガニスト 内山 美穂さんの演奏で、コルネを聴いてみましょう。
最初はパイプ1本ずつ、5つの音を演奏し、その後、5本全部を一度に鳴らします。全部一度に鳴ったら、きれいに溶け合います。これはフルート系の音で演奏しています。

パイプオルガンでは、倍音の数や強さによって、それぞれの音色が特徴づけられます。ひとつひとつ独立したパイプで倍音に当たる音を出すことができ、それらの組合せによって音色を作り出すことができます。そのため、独特の音色を奏でることができるのです。