エレクトーンの成り立ち
エレクトーン誕生ストーリー
エレクトーンの先祖はパイプオルガン?
エレクトーンは、電子オルガンの仲間です。
電子オルガンは、1934年に発売されたハモンドオルガンが、その草分けといわれます。アメリカのハモンドが、「教会にあるパイプオルガンや無声映画の伴奏として活躍していたシアターオルガンを家庭で楽しみたい」と考えてつくったというハモンドオルガン。その当時から、ペダル鍵盤が付き、パイプオルガンと同じように足で踏んで演奏されていました。
日本で生まれた初代のエレクトーンも、1オクターブのペダル鍵盤を持ち、音が伸びるサステイン機能が付いていて、オルガンらしい音がしていました。現代のエレクトーンはぐんと多彩な音色が出せるようになりましたが、やはりパイプオルガンやシアターオルガンなどオルガン系の音色を多く備えています。祖先の面影を今も残しているといえるでしょうか。

東京都文京区の聖テモテ教会にある日本最初の国産パイプオルガン
1959年、エレクトーン誕生!
世界のトップを切って、電子楽器のオールトランジスタ化の研究が開始されたのは1957年のこと。1959年5月には試作機のET-5が製作され、オールトランジスタ化を実現させた一段鍵盤のEM-6を経て、同年12月、ついにトランジスタ使用の電子オルガンとしては国産初のD-1が誕生しました。electronicとtoneからの造語であるその商品名「エレクトーン」は、後年、電子オルガンの普通名詞と間違われるほど、全国に知れ渡っていきました。
演奏家用として開発されたD-1は、メインアンプ以外はすべてトランジスタ281本が使用され、各49鍵の2段手鍵盤、13鍵のペダル鍵盤を装備。音源には、最高音域の12音だけを発振し、その音を2分の1分周器によって次々に下げてすべての音程を作っていく分周方式を採用。音色は、音波を部分的にカットしていくアナログフィルターによって作成され、その滑らかな音は専門家にも高く評価されたのです。
こうして、上下鍵盤とペダル鍵盤による新しい演奏表現の世界を切り拓いたエレクトーンは、翌年から一般向けのモデルも次々と発表され、日本の家庭に勢いよく浸透していきました。

最初のエレクトーンD-1