エレクトーンのしくみ
センサーのしくみ

イニシャルタッチ、アフタータッチ、ホリゾンタルタッチ。それらはすべてセンサーによって実現しています。
鍵盤部分を裏返したのがこちら、手前に白く並んでいるのが鍵盤です。上鍵盤も下鍵盤も同じ構造になっています。

ご覧のとおり、左右に2つ、中央に1つ、合計で3つのセンサーが付いています。左右のセンサーは鍵盤が上下に振れるのを検出し、アフタータッチにかかわっています。中央のセンサーは鍵盤が左右に振れるのを検出し、ホリゾンタルタッチにかかわっています。

鍵盤の裏側のセンサー

鍵盤の裏側にはセンサーが3つある

まず、アフタータッチにかかわる左右のセンサーから説明しましょう。
指で鍵盤を押さえると、L金具が動いて、その下のバネが動き、センサーが働くしくみになっています。鍵盤の押し込み具合で音を大きくしたり小さくしたりできます。

アフタータッチ・センサーの構造

アフタータッチ・センサーの構造

アフタータッチセンサーは、鍵盤の高音側と低音側にそれぞれ1つずつ、合計2つ付いています。その理由はこうです。
高音側にある鍵盤を押すと右のセンサーは大きくたわみ、よく効きますが、左のセンサーはあまり効きません。逆に、低音側を押すと左には効いても右のセンサーまでは伝わらない。

黄色と黒色の物が内側にあるストロークセンサー

黄色と黒色の物が内側にあるストロークセンサー

真ん中を弾いた場合は両方のセンサーがだいたい均等に効きます。そこで両方のセンサーの出力の和を音として出しているわけです。そのため、どこの鍵盤を弾いても同じような力で同じような出力が得られるのです。

次は、鍵盤が左右に振れた時に検出するしくみについて。左右に振らすのは、鍵盤の真ん中でも端でもばらつかず同じ変位で動きますから、センサーは1つだけです。鍵盤の左右の動きに応じてプラスチックの板が動き、中央のセンサーに伝えます。

ホリゾンタルタッチ・センサーの構造

プラスチックの板は、左右に最大0.1ミリ動くとして、0.1ミリの中を64段階に分けています。右へも64、左へも64、全部で128段階の動き具合によって音程を変えたり、音色を変えたりしています。音程を変えるというのは、微妙に音の高さがゆらぐビブラートがかかるように設定してあるということ。また、ビブラートがかからない楽器の場合は、楽器の特性に合わせて音色を変えています。

イニシャルタッチは、発音の瞬間の音の強弱を決めます。どの鍵盤がどれくらいのスピードで押されたのか、という情報を信号としてマイクロコンピュータに送ります。速いスピードで押されていたら大きい音色、ゆっくりだと小さい音色と認識するのです。

鍵盤の下にはシリコンゴムのパーツがあります。下側にはカーボンが塗られた2つの黒丸があり、スイッチの役割をしています。高さは段違いになっています。

シリコンゴムの上側(左)と下側、鍵盤を押すと黒丸が基板に当たる

シリコンゴムの上側(左)と下側、鍵盤を押すと黒丸が基板に当たる

鍵盤の下のシリコンゴムと基板

鍵盤の下のシリコンゴムと基板

鍵盤を触ってゆっくり押していくと、鍵盤が下がり、シリコンゴムもどんどん変形していきます。そして、まず1つめのスイッチが付き、続いて2つめのスイッチが付きます。すると、プリント基板上の凸凹したカーボンの間に黒丸が当たって電気が流れます。この時間差を計るのです。
1つめがオンしたらカウントを始め、2つめが付くまでに何回信号が来たかをカウント。打鍵の強さはわずかな差でも、カウントの数は大きく変わります。何カウントの時はこういう音、というのを128段階に割り振っていて、イニシャルタッチに反映させているのです。