2023年3月期第1四半期 決算説明会 質疑応答

Q1:楽器市場の動向について、ステイホーム需要の反動減、経済環境変化の影響、景気悪化リスクをどう見ているのか教えてください。

各地でインフレが高まっており、欧州でエントリーモデルの動きが鈍化しています。特に東欧や、ロシア産エネルギーに依存する国でそうした傾向がみられます。欧州以外の地域では、現時点で需要が弱まる明確な兆しはありません。経済環境が急速に変化する中で、今後、影響が拡大する可能性もあり、注意深くウォッチしていきたいと思っています。


Q2:北米の管弦打楽器が非常に好調ですが、その要因について教えてください。

学校の再開に加え、コロナからの経済回復を狙った米政府による財政支援ESSER(Elementary and Secondary School Emergency Relief Fund)があります。学校に対する支援で、購入備品として管楽器を中心に、一部ピアノやギターへの後押しも考えられます。北米は在庫不足が続いていましたが、楽器は生産が回復し好調が持続しています。


Q3:中国ロックダウンとロシア・ウクライナ問題による影響額の見方に変更はありますか?

ロシア・ウクライナについては変更ありません。中国ロックダウンについて、前回は生産に影響が出るとみていましたが、ロックダウン終了後の生産は順調で、通期で影響を取り戻せる見通しです。一方、販売は通期では影響ないとみていましたが、ロックダウンが長引いたため、50億程度キャッチアップが困難な見通しです。結果、影響額としては変わっていません。


Q4:新興国の潜在成長率からすると、楽器のその他の地域の今期予想はかなり低く見えますが、コメントをお願いします。

ロシア・ウクライナ向け売上がない中での3%成長であり、両国の売上減を考慮すると実質5-6%程度の押し上げとなり、決して悪くはないと捉えています。


Q5:注残について6月末の水準と中身、今後の解消見通しについて教えてください。

通常の受注残に追加で積み上がっている注残は、12月末の500億円程度から、3月末に470億円程度となり、6月末はさらに50億円ほど減っています。注残は、アコースティックピアノが最も多く、次に管楽器、PA機器、デジタルピアノという順で、中高級品の需要が依然強く、エントリーモデル中心に減っています。地域別では半分以上が北米です。大きなキャンセルは出ておらず、楽器を中心に生産が順調に進み、期末に向けて徐々に減少していくとみています。


Q6:業績予想の修正について、売上は為替を反映し増収としたのに対し、利益を据え置きとした背景をご説明願います。

第1四半期の結果はほぼ順調で、第2四半期以降も想定通り進捗するという認識です。変化としては、上海ロックダウン影響の長期化、欧州でのエントリーモデルの鈍化、調達コストやエネルギーコストの上昇などがあります。コスト上昇は価格適正化で吸収していく計画ですが、様々な環境変化がある中、まだ第1四半期であることを考慮して利益は変更しませんでした。


Q7:半導体需給が緩和してきているようですが、半導体不足の状況について教えてください。

部品によって、改善しているものと、そうでないものに分かれています。製品ではPA機器が若干改善してきていますが、AV機器は依然厳しい状況です。部品が1つでも足りないと製品を作れないので、全体として大きな改善には至らず、今期は音響機器で300億円程度の売上影響を見込んでいます。楽器に関しては供給制約がなくなったとはいえ、無制限に作れるほど半導体を入手できる状況ではなく、計画数は作れますが大幅な増産は難しい状況です。


Q8:物流に関して、輸送スケジュールの混乱や輸送費の状況を教えてください。

コンテナ不足は改善してきています。まだ輸送に少し時間がかかっていますが、混雑も解消してきています。輸送費は期初予想から変更なく、当面は今の状況が続くとみています。


Q9:コスト高が進む中、今後、どのような考え方で価格適正化を進めていくのでしょうか?

前期のコスト上昇分は全て転嫁できておらず、その積み残し分と今期の上昇分を全て転嫁させていただく方針です。価格適正化の基本的な考え方に変更はなく、お客様に製品、ブランドの価値をご理解いただいた上でご購入いただくという考え方で、コスト上昇が収まった後も価格適正化を継続していく考えです。


Q10:棚卸資産が増えていますが、在庫水準に対する見方と、期末に向けて在庫を減らす施策を教えてください。

増加分181億円のうち為替影響が75億円、残りの半分が製品、半分が仕掛・部品材料です。製品は、供給の回復と、季節性で3月末より増えるのが通常です。仕掛・部品材料は、リスク回避の側面と、半導体調達難に伴う他の部品の生産未投入分です。期末に向け、注残出荷を進めることで適正化を図っていきます。


Q11:その他の事業で、売上・利益が大きく出た背景と、今後の見方を教えてください。

電子デバイスは、中国の自動車メーカー中心に車載オーディオの採用メーカー、搭載車種が増えています。お客様側の減産影響がありますが、部材不足が解消すれば順調に出荷できるとみています。自動車用内装部品も、日本メーカーに加え海外メーカー向けの出荷が伸びています。お客様の減産と開発コストを勘案し、今期は収益の伸びをあまり大きく見ていませんが、売上が伸びてくれば、開発費を吸収し利益の伸びが期待できると考えています。