2022年3月期第3四半期 決算説明会 質疑応答

Q1:半導体調達難の状況と、今後の見通しについて教えてください。

先行きは不透明ですが、楽器については正常化してきており、今期中にほぼ収束していくとみています。一方、音響機器は厳しい状況が続いています。音響機器は、使用するLSIの数が多く、回路が複雑で、特にPA機器は、音質に影響するため慎重な設計変更を要するので、時間がかかっており、現時点では、来期の上半期まで影響が続くと予想しています。


Q2:半導体不足による通期の売上影響は、第2四半期後に400億円弱という見込みでしたが、状況はどのように変わっているか教えてください。

今期の売上影響額に大きな変更はございません。


Q3:コストアップに対して、どの程度価格への転嫁が進んでいるのか教えてください。

半導体のコストが45億円ほど、物流コストが60億円ほど上がっていて、全体として100億円を超えるコストアップがあります。それらは価格の適正化で吸収する方針ですが、タイムラグがあり、半分強が転嫁できているとみています。


Q4:12月末に390億円あった注残は、どう変化したのでしょうか。

通常の受注残に追加で積み上がっている注残は、さらに100億円ほど増え、500億円程度という状況です。内訳は、地域では欧米が中心で、製品ではデジタルピアノやピアノ、また需要の回復に伴ってPA機器が増えています。


Q5:注残の解消について、どの程度が売上につながるのか確認させてください。

現時点で、注残がどのように解消し、売上につながっていくのか、明確な見通しを描ける状況にはなく、生産キャパを上げながら徐々に解消していくイメージです。


Q6:在庫は、今期末に1,090億円と増加の見込みですが、生産が通常より高いと思われ、稼働益が出るのではないでしょうか。

在庫は前期より増えますが、これは原材料の増加と、物流の混乱もあり、販売現法への輸送途上のイン・トランジット在庫が増えるためです。第4四半期に、楽器の生産が通常に戻ってきますが、半導体も不足しており、通常以上に生産稼働が上がるわけではなく、プラスアルファの稼働益が出る状況ではありません。


Q7:第3四半期の欧州の楽器は、販売が伸び悩んだように見えますが、理由を教えてください。

ピアノは堅調でしたが、半導体調達難で電子楽器が落ちています。ギターも市況は堅調ですが、エレキギターやアンプが、供給不足で販売できませんでした。北米と欧州は同じような回復傾向ですが、北米ではレンタル向けの管楽器の販売が好調だったことと、全般的に商品着荷のタイミングにより販売に差が出たとみています。


Q8:マーケットシェアの見方を確認させてください。

デジタルピアノは、少しシェアを落としているとみていますが、生産が回復してきているので、今後、シェアを奪還していきたいと考えています。


Q9:楽器事業の業績について、商品別、地域別で改善に差はありますか?

全般に市況は堅調で大きな差はありませんが、強いて言えば、日本国内の管楽器は、学校での課外活動が再開できないため、需要が戻っておらず、業績が下がっています。


Q10:第4四半期の楽器事業は、地域別でどういった市況変化を想定していますか。

中国は、ピアノの供給が足りず、旺盛な需要に応えられないため、少し伸び悩むという見通しです。欧米は、イン・トランジットの商品が着荷するので、売上が伸びるとみています。


Q11:音響機器の需要について、AV機器・PA機器・ICT機器、それぞれの状況と、今後の見方を教えてください。

供給ができていないため、十分な確認ができませんが、需要は総じて強いと認識しています。AV機器は堅調な需要が続いており、PA機器は今期後半にライブ、コンサート需要が回復してきています。ICT機器は、非常に強かったUC(会議システム)の需要が少し落ち着いてきていますが、ネットワーク機器は引き続き需要堅調です。


Q12:部品・装置その他セグメントが、第3四半期に利益堅調だった背景と、第4四半期は損益が悪化する背景を教えてください。

第3四半期は、中国の自動車メーカー向けにブランドオーディオの出荷が進み、FA機器、自動車用内装用部品も、比較的順調に出荷できました。第4四半期は、自動車メーカーの減産影響の顕在化や、モデルミックスの変化、開発費の後ズレなどによる損益悪化が見込まれますが、できるだけ上乗せをしていきたいと考えています。


Q13:今の販管費の水準を、どのように捉えていますでしょうか?

先期、コロナ禍の影響で、販管費のうち固定費を100億円ほど減らしました。今期も半導体調達難など厳しい状況で、販管費は意図的に抑えており、固定費の戻りは実質10億円程度と、それほど増えていません。今後、活動を再開することで、固定費は増えてくると思いますが、100億円すべて戻るとは想定しておらず、以前と比べて低い水準が狙えると考えています。


Q14:3月末のキャッシュの見通しは1,780億円と高く、キャッシュアロケーションの考え方について改めて教えてください。

コロナ影響、半導体調達難等、厳しい状況が続いていますが、販管費を極力抑えたオペレーションで、比較的順調にキャッシュを創出できています。4月から新中計がスタートしますので、その方針に沿って、株主様への還元も含め、使い方をしっかり検討していきたいと考えています。